本年度のショパンコンクールの結果が出た(入賞者は下記)。1位は韓国人のチョ・ソンジンである。アジアとしては、ダンタイソン(ベトナム)、ユンディリ(中国)に続く快挙である。日本人の小林愛実さんは残念ながら入賞を逃している。今回は北米勢の活躍が目覚ましい。欧州勢はロシアだけというから、クラシック音楽界の重心が移動していることを物語っている。優勝したチョ氏は、中村女史をして「桁外れの才能」と言わしめていたから、優勝も当然と言えば当然かもしれない。しかし、各国の文字通りトップがしのぎを削る国際コンクール。出場だけでも極めて栄誉である。順位は審査員などの好みによっても変動する水物である。とはいえ、入賞者には大きな拍手を送りたい。また、コンテスタントには脱帽して敬意を表するところである。
第1位 チョ・ソンジン(韓国)
第2位 シャルル・リシャールアムラン(カナダ)
第3位 ケイト・リュウ(アメリカ)
第4位 エリック・ルー(アメリカ)
第5位 イック・トニー・ヤン(カナダ)
第6位 ドミトリー・シシュキン (ロシア)
それにしても今年は韓国勢の音楽コンクールでの活躍が目覚ましい。チャイコフスキーでは4部門中3部門で入賞者をだし、エリザベートコンクールではヴァイオリン部門で優勝者、今度はショパンコンクールで優勝者を輩出した。世界の大学ランキングでも日本は中韓に猛追されているが、クラシック音楽においても日本はアジアにおいてその指導的な地位を失いつつある;クラシック音楽に関しては失ったといってもいいのかもしれない。韓国人の活躍、これは芸術文化政策に力を入れてきた成果だろう。才能のある人は20歳前後には国際コンクールで入賞するので、音楽教育の結果は早期に出やすい。韓国が芸術に力を入れ始めたのが1990年頃だから、20~25年のラグを経てちょうど結果が出始めたのである。1990年代ぐらいまではアジアではクラシック音楽を嗜める富裕国は日本ぐらいで、それゆえ国際コンクールの常連はアジアでは日本だけだった。しかし、韓国や中国などが経済力を増す中で、韓国人や中国人の活躍が目立ってきた。本屋に行くと「日本凄い論」に関する駄本が並んでいるが、単に先んじて西欧的なシステムを導入したのが、日本がたまたま早かっただけであり、日本人が特別なわけではない。実際、音楽では韓国・中国が比肩・凌駕しつつある。
上智大理工学部古屋准教授の書いた「ピアニストの脳を科学する」にもあるように、音楽は早期教育が重要である。ピアニストの金子三勇士は国立リスト音楽院大学ピアノ科に11歳に飛び級入学し卒業したが、日本に帰国したら、高校に編入となった。日本では飛び級ができないからである。日本の音楽指導法の水準は世界でもかなり高いと言われているが、音楽ギフティッドの伸びゆく才能を制度が阻害していると思われる。音楽に限らず、ギフティッドの才能を伸ばしやすい環境作りは不可欠だろう。
アメリカのアメリカ合衆国教育長官はアーン・ダンカンはハーバード大学卒業、イギリスの教育大臣Nicky Morganはオックスフォード大学Hugh's Collegeを卒業し企業弁護士をとして勤めていた。ドイツの教育・研究大臣のJohanna Wankaは博士号保持者、フランスの国民教育・高等教育・研究大臣のベルカセムはパリ政治学院卒業である。新しい安倍内閣の文科大臣は元プロレスラー、副大臣の義家は元ヤンキーの不良である。日本の教育行政の未来は明るい。