数学の最高峰とされる研究領域でAIが劇的な成果を相次いで上げている。これまでAIは人間の計算を補助するツールと見なされていたが、近年では自律的に新たなアプローチを構築し、証明を生成する共同研究者へと進化を遂げた。これにより世界15カ国の大学や研究機関に所属する16人の研究者が緊急声明ともいえる「ライデン宣言」を発表した。シンギュラリティの最前線に立つ数学分野で起こっているパラダイムシフトと、AIと人との役割変化とは何か?(ビジネス+IT;LINK

 

米OpenAIの大規模言語モデル「GPT-5.4 Pro」が、数学者ポール・エルデシュが提起し、90年近く未解決だった「エルデシュ問題1196」に対し、GPT-5.4 Proはわずか80分で証明を生成したそうだ。「エルデシュ問題1148」の有界表現問題においては、複雑な二次形式の点選択問題へと変換して解決。Google DeepMindのモデルも、グラフ再構築予想のバリエーションなど複数の未解決問題を解決しているそうだ。さらに、AIの証明が正しいか否かを証明検証システムに連携することで、論理的な整合性が正しいことが担保されるようになっており、従来の人力で証明し、人力で証明の正しさを確認するというプロセスに大きな変革が起きてきている。

 

ちなみに、オープンAIとグーグルの人工知能(AI)モデルは、最難関とされる東京大学理科Ⅲ類で受験生の最高点を上回り、オープンAIは東大・京大のすべての科類や学科で「首席」になるスコアだったそうだ(LINK)。AIの進化スピードは想像以上であり、画像・動画生成はいうまでもなく、学力を測定する試験においても人間のレベルを上回り、数学においても上記のような発展を遂げており、ほとんど人間の知的水準を凌駕しつつある。

 

こうした中、ホワイトカラーの仕事はどんどん奪われていくという予想が多い。おまけに最近はフィジカルAIも登場してきており、単純労働も代替されるだろう。この技術発展の速度だと、2030年にはAIは現在予測されている水準を上回るレベルに発展し、街中でフィジカルAIが働くシーンも増えるかもしれない。

 

ただこれは経済にとってマイナスではないかもしれない。先進国は少子化に悩まされ、これまでは労働力不足が叫ばれていたわけであり、これがAIによって労働力が穴埋めされることで、人口減少でも経済力を維持できるかもしれない。世界的に合計特殊出生率の低下が顕著であり、2025年の日本の合計特殊出生率は1.14であり、少子化先進国といわれがちであるが、最近はそうでもない。イタリア 1.14、チリ 1.1、ポーランド 1.05、中国 0.99、台湾 0.89、シンガポール・タイ 0.87、韓国 0.8であり、日本特有の現象ではないのだ。福祉国家のフィンランドも1.3で日本と大差ない水準である。

 

AIは、人間の雇用を奪うかという点では、奪うかもしれないが、しかし、人間にしかできない仕事をするようになるだけだと思う。過去、技術革新のたびに大量失業が懸念されたが、そうしたことは起きなかった。どちらかといえば、先進国においては、労働力不足を補うメリットが大きいのではないかと想像する。しかし、フィジカルAIが安価になる場合、これから人口ボーナスを享受できたであろうインド・アフリカなどは、その労働力の豊富さという強みを活かせないかもしれない。すでにインドなどは若年層の高い失業率に悩まされている。それよりも、今後、フィジカルAIが軍事転用されれば、それこそロボット兵を使った戦争も増えるのではないかと危惧してしまう。

 

10年前に、コロナが流行するなんて予想できなかったし、また、日本がこんなに落ちぶれるとは思っていなかったし、AIがここまで発展するとも考えられなかった。2036年にどうなっているだろうか?もはや想像がつかない。