「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026」へ行ってきた。毎年、有楽町・丸の内エリアでGWに開催されているクラシックの音楽祭である。正直、コロナ前はもっと大規模でブースももっと多くあり、また、池袋などでもコンサートがあったが、規模がやや縮小気味。人出も今年は去年より少ないが、やはりインフレ等の影響で外出を控える人が増えているんだろうか。
(聴いたコンサート)
■田園多き地から初登場!千葉交響楽団による力みなぎるベートーヴェン
ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op.68「田園」
⇒ あまり交響曲を聴くことはないので良い機会だった。田園を想起させる牧歌的な曲調でとても美しい楽曲。
■名手たちによる“デュオ”協奏曲の自由な流れに身を任す
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365
⇒ モーツァルトの楽曲はやはり聞きやすい。デュオの協奏曲で、奏者の見事な掛け合いが心地よい。ピアニストはアンヌ・ケフェレックさんと、ガスパール・ドゥエンヌだったが、ガスパールさんはケフェレックさんの息子さんのようだ。
■行く川の流れは絶えずして。喜びの色彩とリズム溢れるコンチェルト&シンフォニー!
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」
⇒ モーツァルトのピアノコンチェルト第23番は私のお気に入り。ピアノはキム・セヒョンだが、ロン=ティボー国際コンクールの優勝者。若々しい音楽性が光る。シューマンの交響曲第3番は、ライン川の流れのように雄大さもあり、祝祭感と郷愁が同居した名曲だ。
■東欧の2つの協奏曲による、陰影細やかな世界を
アザラシヴィリ:チェロ協奏曲
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21
⇒ ヴァージャ・アザラシヴィリのチェロ協奏曲は初めて聴いたのだが、アザラシヴィリは2024年に亡くなったジョージアの作曲家である。民族的で哀愁と情熱を感じる色彩豊かな作品だった。2曲目はショパンのピアノ協奏曲第2番だが、第2楽章の甘美な旋律が本当に美しい。
■厳しく音を錬磨した名匠による、ショパンの傑作小宇宙
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 op.60
ショパン:24の前奏曲 op.28
⇒ 演奏者はアブデル・ラーマン・エル=バシャ。レバノン出身のピアニストでエリーザベト王妃国際コンクール優勝者。舟歌はショパンを代表する傑作の1つだが、ヴェネツィアの風情を湛えた名曲である。「24の前奏曲」は、マヨルカ島で完成した傑作。すべての長短調を網羅した前奏曲集であるが、曲の長短・難易度もバラバラで、一種の性格的小品集となっている。
■川辺での沈思
J.S.バッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲「来たれ異教徒の救い主よ」 BWV659a
J.S.バッハ(マルチェッロ原曲):協奏曲 ニ短調 BWV974から アダージョ
スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32
J.S.バッハ(ヴィヴァルディ原曲):オルガン協奏曲 ニ短調 BWV596から ラルゴ
ショパン:夜想曲 ト短調 op.15-3
ヘンデル(ケンプ編):組曲第1番 変ロ長調 HWV434から メヌエット ト短調
ショパン:夜想曲 ト短調 op.37-1
J.S.バッハ(ヘス編):コラール「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻から 沈める寺
サティ:ジムノペディ第1番
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻から 雪の上の足跡
ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」から 月の光
ショパン:子守歌 変ニ長調 op.57
ドビュッシー:「映像」第1集から 水の反映
⇒ 演奏者はアンヌ・ケフェレック。ミュンヘンコンクールの優勝者である。バロックからロマン派、印象派までの小品を並べており、川辺を散歩するように曲を聴いてほしいという意図で、曲間の拍手は控えてほしいとアナウンスがあった。プログラム構成が興味深い。冬の夜だろうか。教会がある街に流れる小川を歩くような情景が浮かぶ。フレンチピアニズムが光る真に見事な演奏だった。
■大洋の交響詩と、名ピアニストが奏でる大河のごときコンチェルト
シベリウス:交響詩「大洋の女神(波の精)」op.73
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
⇒ シベリウスの交響詩は、米国人の実業家からの依頼により作曲された。ギリシャ神話をベースにした作品。フィン語の題名は「波の精たち」である。10分と短い曲であるが、シベリウスの繊細な感性が光る楽曲だった。グリーグの「ピアノ協奏曲 イ短調 」は非常に印象的に始まるグリーグの傑作。ピアノの演奏はショパンコンクール第4位入賞の小林愛実。
今年は時間の都合で講演は聴けず、また、マスタークラスがチケットの半券で入れなかったので拝聴できず。結局、コンサートだけ堪能して終わった。来年はマスタークラスや講演もバランスよく楽しみたい。来年のテーマはなんだろうか?来年の開催がいまから楽しみである。

