3連休最終日の夜は松本和将さんのピアノリサイタルへ。松本和将さんの演奏はずっと前にテレビで聴いてから虜になっており、一度、生演奏を聴きたいと思っていた。オールラヴェルプログラムと、なかなか粋な選曲である。場所は音楽ホールではなく、「タカギクラヴィア 松濤サロン」という50席ほどの小さなサロン。防音性が低く、道路の音などが結構聴こえてくる(;´∀`) しかし、ピアノはスタインウェイで、小さなサロンなので響きもちょうどよく、大変満足だった(1ドリンク付きだったのでワインもいただけましたし笑)。

 

松本和将さんは日本音楽コンクールで優勝しており、また、ブゾーニ国際ピアノコンクールで第4位、世界三大ピアノコンクールの1つエリザベート王妃国際音楽コンクールでも第5位の上位入賞を果たしている。知名度がとても高いわけではないが、CDも多数リリースしており、レコード芸術特選盤に2枚が選ばれるなど、名演奏家として知られる。

 

【プログラム】

(前半)亡き王女のためのパヴァーヌ、水の戯れ、ソナチネ、夜のガスパール

(後半)鏡

(アンコール)亡き王女のためのパヴァーヌ

 

本当に極上の演奏だった。ピアニッシモが本当に儚く美しい。色彩豊かで、詩情たっぷりで雰囲気の引き出し方が率直にすごい。過度な演出や、過剰な感情表現などはなく、どこまでも中立的に誠実に奏でていく。曲の深い理解と、真摯な姿勢が演奏から伝わってくる名演だった。ピアノの音を鳴らしているというより、ピアノが音色をそれこそ自発的に奏でているような自然さがある。天から音が降り注ぎ、スッと心に染み入ってくるような感覚。素人の聴衆がおこがましいが、大変な音楽性だと思う。トークをはさみつつの演奏会だったが、曲の解説も興味深く拝聴させていただいた。「鐘の谷」を「風の谷」と言い間違えて「ジブリになっちゃう」というセルフツッコミには微笑まさせていただきました。

 

最近はピアニストというと、Youtubeなどで派手な演奏だったり、超絶技巧で分かりやすい表現をされる人が好まれる傾向があるように思われるが、一方で、松本さんのような正統派の極上のピアニストももっと注目されてほしいなと思う。超絶技巧は加齢とともに失われていくし、派手な演奏は飽きられやすい。ウィスキーやワインのように年数を重ねることで円熟を増す演奏はもっと長く楽しめて良いものである。