実在のローマ皇帝の暴君のカリギュラを描いた問題作「カリギュラ」。「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェル、後に「クィーン」でアカデミー主演女優賞を受賞することになるヘレン・ミレン、「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥールら英国の大物俳優が出ている。
1976年、男性向け月刊誌「ペントハウス」の創設者であるボブ・グッチョーネは、約46億円もの巨費を投じ、自主製作映画として本作を作ったのだが、グッチョーネが勝手に脚本変更したり、無断でポルノシーン追加したりして、トラブルだらけになった。結果的に監督はクビ、音楽家などはクレジットを拒否するという有様だった。批評家からは酷評の嵐だったが、一部の観客には評価され、伝説的な作品となったものである。
本作は、破棄されたと思われていたフィルムが発見されたことで、90時間以上の映像を再編集して、再び1本の映画として完成された再編集版「カリギュラ」である。ちなみに、私は1976年公開版は未視聴。
178分の長丁場だが、エロ・グロ的なアート作品ぽいなと思う一方で、それぞれのシーンのインパクトはそこそこ強いし、俳優陣の演技は素晴らしいのだが、映画としての推進力には欠けるため、観ていると眠くなる。衣装なども悪くないのだが、なんか印象に残らない。
そして、当時としては問題作だったとはいえ、CGなどが発達して、もっと高精度の映像を見慣れている現代人からすると、グロいシーンも正直作り物が強く、何も感じなかった。正直、裸体も多いが、頻度が多く、集団で出てくるとそれが普通に見えてしまう。なんというか、変態性に乏しく、ありきたりなただの裸体にしか見えない。やはり公開当時は問題作だったのだろうが、その後、これを上回る作品や描写がいくらでも出てきたことで、衝撃が陳腐化した感が否めない。
当時観ていたら「なんて作品だ!」と思ったのかもしれないが、正直なところ、個人的には悪趣味で豪華な映像以外に特に観るべきところがあまりない。正直、3時間は長いので、2時間のダイジェスト版があればいいなと思う(映画製作陣・再編集陣には申し訳ないが)。伝説的な作品なので、あくまで教養として観ておくのは良いかもしれない。
★ 3.4 / 5.0
