1年ほど前に成田悠輔氏とABEMA Primeで対談していた池戸万作氏(経済政策アナリスト)であるが、質問を理解できないのか、的外れな回答に終始していたので覚えているのであるが(やり取りからするに因果関係と相関性の違いが分かってない)、どうやら年収が10万円程度しかない生活困窮者だったようである(実家暮らしなので生活には困らないようであるが)。自身がXでも投稿し話題になっていたが、それがYoutuberなどでも取り上げられており、たまたま私の目にも入った。

 

 

池戸万作氏のXをみてみたのだが、正直、よくABEMAはこの人の出演を許可したなというぐらい不可解な言動が多い。思わず遡って調べてみたのだが、どうやら「れいわ新選組の政策ブレーン」と名乗っていた時期もあるが、ただの自称で、れいわ所属の大石あきこ議員からもブレーンである点について「自称」であると指摘され、政党の政策についてなんの影響もないし、責任ある役職にもつくことはない(そのような事態になれば阻止する)と断言されている(LINK)。「日本経済復活の会」の幹事を称しているが、この会のHPも2017年が更新の最後で、現在は活動実態がよく分からない団体である(LINK)。

 

経済学の修士号は中央大から得ているようであるが、特に査読論文などはないようである。特に著書もなく、年収10万円(最近は月収2850円)ではただの貧困者であり、日本経済を語る前に自信の生活をなんとかすべきである。実家暮らしのようなので、親などに面倒は見てもらっているようだ。経済苦だとしてXでカンパを募っているようであるが、これは軽犯罪法1条第22号のこじき行為ではないかと指摘する投稿もあったが笑ってしまった(法律に本当に抵触するのかは当方は関知しない)。

 

それにしても年末年始に暇なのでこの池戸万作氏のXを眺めていたのだが、基本的な経済関連の知識に乏しいように感じた。「経済史に残る経済学者は、ケインズを除いて、みんな貧乏でした。」LINK)などとポストしていたが、「比較優位」で有名な経済学者リカードは投資に大成功して約150億円あまりの遺産を残し、彼の豪邸は現在、英国王族のアン王女のカントリーハウスになっている。そもそもオーストリア学派のルートヴィヒ・フォン・ミーゼス、フリードリヒ・フォン・ハイエクはともに名前に”フォン”と入ることからも分かるが貴族家系である。そのほか重農主義のケネーもヴェルサイユ宮殿で暮らした貴族である。困窮したという点でマルクスのイメージがあるのかもしれないが、実家はロスチャイルド家の親戚で裕福で、奥さんも男爵令嬢の貴族であるし、実業家のエンゲルスというパトロンもいた。経済的困窮の時期もあったが生涯貧乏だったわけではない。ノーベル経済学賞受賞者は賞金もあるし主に大学教授などの役職にあるので大学からの収入もある。アカロフ、バーナンキ、スティグリッツ、カーネマンなどは著書もそれなりに売れており一般的には富豪だろう。経済史に残る経済学者がケインズ以外は貧乏というのは意味不明である。こんな発言を安易にするからして、シンプルに知識がないのだろう。

 

池戸氏の主張する政府支出を増やせば経済成長する云々の議論も、特にまとまった学術論文がないのでさっぱりよく分からない。Xでも様々なユーザーに論拠の薄弱さを指摘されているが、論拠となる論文や自己の分析結果の提示もなく、鋭い指摘をするユーザーはブロックして議論を避ける傾向があるようである。

 

ネット社会になって言論の自由度は増したが、一方でやや魑魅魍魎と化した感は否めないように感じる。特に本人が何を自称しようと他人に迷惑をかけなければ自由だし、いくらSNSで意見発信して貧困に陥ろうと本人の自由であるが、凄そうな肩書に扇動されてしまう人も一定数いる。デマゴギーは古代ギリシャ以来の民主主義のバグだが、2000年以上経っても是正できない。デマゴーグには丁寧に反論していくしかないだろう。