実写版のリトル・マーメイド。坂本龍一監修の全席がプレミアムシートの109プレミアムシネマ(東急歌舞伎町タワー)で鑑賞したが、とにかく音響が素晴らしかった。名曲が多い作品だけあって、楽曲はほんと良いし、海の中の映像描写はかなり自然で良く、冒頭はテンションが上がる。

ただ元のディズニーのアニメ映画は1時間25分程度のところ、本作はプラス50分なので、相対的に音楽シーンの割合が減ったので、結果的に音楽の印象が弱かった。もうちょっと楽曲を追加して、ハリー・ベイリーの美声を活かしてもよかったのでは?

そして、フランダーとかほんとただの喋る魚になっちゃったんですね・・・。スカットルもただの鳥なのでちょい目が怖いかも。おっちょこちょいの愛らしい雰囲気ゼロ。カニのセバスチャンはこれはこれでありかなって感じだけど。やっぱデフォルメされた外形が性格を表していたりするので、リアルな生物感を出されるとちょっと違和感はありますね。キャラはいいのですが。

そして、黒人のハリー・ベイリーが起用されたことで、原作のイメージに沿っていないとかなり議論を呼んだが、正直、観ていて気にはならなかった。陸地は海に隔てられているが、海はつながっているので、様々な人種の人魚がいるという設定であり、それは特に違和感がない。

これを、ポリコレ(ポリティカリーコレクト)だという人もいるが、米国では出生児に占める白人の割合は半数以下なのでマーケティング戦略としても非白人キャストを据えるのは合理的なのだ。もちろん、原作尊重もあるが、舞台や時代を変えてリメイクする場合もあるのだから、別に主人公の設定を変えてもいいだろう。製作陣は、時代にあわせて共感できる作品を作っているだけである。

一方で、海の魔女のアースラが、トリトン王の妹であり、アリエルの叔母になっちゃってるんですが、家族内の悲劇という要素を足してますが、なぜご親族の中で一人だけ「タコなの?」って違和感がすごかったです。追放された理由も分かりませんでしたし。おまけにラストのシーン、強そうなのに、都合よくあっさり撃退されちゃうのね・・・。

なんだかんだ言われいたハリー・ベイリーは、はまり役で良かったのに、映画の出来栄えが彼女についてこれてない気がする。お城もセット感が強いし、実写にしたときに生じる話の展開の唐突さとかの違和感。そして、なんか映像描写がチープというかありきたりな印象を受けないわけではない。アースラのラスボス形態のシュールさとか。もうちょっと上手に実写化出来たんじゃないかなぁと思ってしまった。期待していたのですがね。。

 

★ 3.4 / 5.0