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さて、本日はサントリーホールまで「グエン・ヴィエット・チュン ピアノリサイタル」を聴きに行ってきた。前回のショパンコンクールで演奏を聴いて気になっていたが、生で聴けて良かった。グエン・ヴィエット・チュン氏はベトナム出身のピアニストである。前回のショパンコンクールでは二次予選で姿を消した。第17回全国ピアノフェスティバル「若きピアニストの弾くショパン」コンクール第1位(ポーランド)、国際ヴァイオリン・室内楽コンクールグランプリ(ベトナム)、カルロヴァツ国際ピアノコンクール第3位(クロアチア)などそこそこ入賞は重ねている。

 

ホールはサントリーホールのブルーローズという小ホールである。ブルーローズは、サントリーが不可能といわれた青い薔薇を開発したことから名づけられている。会場は400人弱の座席であるが、やはり知名度の問題で空席が目立つ。後援している企業の関係者などが多いようで、私のようにシンプルに演奏を聴きに来た人は珍しいかもしれない。ただそのせいか、早々に寝てる人などが散見されて残念。

  • モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K. 330
  • シューベルト:即興曲 Op. 90
  • ショパン:バラード第4番
  • ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op. 35 「葬送」
さて、演奏であるが、はっきり言って、モーツァルトとシューベルトはだいぶ荒削り。音量のバランスや曲の展開などに若干のぎこちなさを感じる。ただ後半のショパンになり、一気に音が変わり、こちらは名演。ショパンコンクールに向けて練習を重ねただけあって素晴らしい仕上がり。素朴ながらも高い感受性を感じる好演だった。繊細な演奏と言われるが、実際のところかなり情熱的であり、勢いのある熱のこもったパワフルな演奏だと思う。一方で、アンコールで弾いたショパンのノクターン Op.27-2は儚く美しい。ショパンはほんと名演だったと思う。素朴な演奏ながら随所に彼の豊かな感性が落とし込まれた演奏だった。
 
さて、10月にも再来日の予定らしい。ダンタイソン以来のショパンコンクール出場者として本国ではかなり有名らしい。グエン・ヴィエット・チュンはおそらくベトナムのピアニストの泰斗になるだろう。