本日、ウクライナ出身のピアニストであるアレクサンダー・ガブリリュクのピアノリサイタルへ行ってきた。場所は初台にある東京オペラシティコンサートホールである。このピラミッドのような内部空間はほんと素敵。ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール(キエフ)、浜松国際ピアノコンクール、ルービンシュタイン国際ピアノコンクール(テルアビブ)で優勝を飾っている。中村紘子が「20世紀後半最大の16歳」と絶賛していたこともあり気になっていたので、アレクサンダー・ガブリリュクの演奏は前から聴きたかった。

 

 

(曲目)

・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調「月光」op.27-2
・シューマン:子供の情景 op.15
・リスト:タランテラ S.162-3 / R.10c-3
 

・ショパン:夜想曲 第8番 変ニ長調 op.27-2
・ショパン:ポロネーズ 第3番 イ長調「軍隊」op.40-1
・ブラームス:間奏曲 ロ短調 op.119-1
・ブラームス:間奏曲 嬰ハ短調 op.117-3
・サン=サーンス/リスト:死の舞踏 op.40

 

感想だが、瀟洒な演奏だった。Youtubeで聞くよりも全体的に音が丸みを帯びて柔らかく、温もりと自由な音楽的感性を帯びた演奏。シューマンの「子供の情景」はどこか音遊びしているような自由なロマンティズム。リストの「タランテラ」や「死の舞踏」では彼のヴィルトゥオーゾぶりがいかんなく発揮されている。もう少しシリアスな演奏かと思ったが、陰影より洒脱な雰囲気で、よくコントロールされた音が響く。

 

ただあまりにも演奏が手馴れているせいか、どこか商業的な演奏屋さんという感じがしないでもない。その点でも”モダンな”演奏家なのかもしれない。この後に他の講演に向けて移動があるのかなんなのか知らないが、歩くのも早く何かにせかされているようだった。そそくさと出てきて、アンコール2曲弾いて、ささっと撤収。あの終わり方はないだろう。