ロンドン、ニューヨークと世界を巡回してきた「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展が、東京都現代美術館で開催されている。東京都現代美術館はあまり有名ではないかもしれないが、江東区にある美術館で、清澄白河駅から徒歩10分ほど。正直、交通アクセスは良くないが、都心を離れているがゆえに、ゆったりとした空間を持つ美術館となっている。柳澤孝彦の設計。公立美術館であるが指定管理者制度で民間の運営である。
本展示についてであるが、日本文化へのオマージュとしてデザインされた空間演出が見事。建築家 重松象平氏によるそうだが、この空間がとにかく素晴らしく、中に入って思わず「おお」と声が出てしまった。クリスチャン・ディオールの名品「バースーツ」はもちろん、彼の後を継いだイヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリといった歴代のクリエイティブ ディレクターたちが考案した作品が豊富に展示されており圧巻。展示の規模も大きく観ごたえ十分。さらに日本人写真家 高木由利子氏が本展およびポスターのために撮り下ろした写真も展示されているが、芸術的で誠に素晴らしい。ディオールのアイコン的なバッグの「レディ ディオール」の展示も凝っており、日常使いのバッグを芸術の域に高めている。
そして本展示ではDiorと日本との関係性についての展示も興味深い。大丸・鐘紡とDiorが提携したのはなんと1953年。終戦から8年後のことである。(ちなみに、その前年には「風と共に去りぬ」がロングラン大ヒットしている。欧米文化を忌避していた戦前から欧米文化の受容に舵を切る日本人の変わり身の早さに驚かされた(これは余談))。日本の生地のレベルは極めて高いが、Diorはそれを評価しており、また日本文化にも造詣が深かったようだ。ちなみに、現在の上皇后美智子様のウェディングドレスもDiorのものであった。
ちなみに、DiorはLVMHグループに属するが、その創業者のアルノー(現在世界第1位の大富豪である;前記事参照「ブランド帝国の創始者アルベール・アルノーが世界一の大富豪に」)が巨大なラグジュアリーブランドの帝国を築き上げる際に、最初に買収したブランドがDiorである。Diorは最近、ドキュメンタリーや映画へのメディア露出を強化しているが、本展示会もマーケティング戦略の一環だろう。そして美術展として展示することで、ただの日常品ではなく、格別のブランドであるというアピールにもなる。
私はDiorのものは持っていないが、非常に興味深く鑑賞することができた。いままでいった美術館・展示会でも指折りの素晴らしさ。これは一見の価値ありである。おまけにすべて写真撮影も可となっている大盤振る舞い。なお、当日券はすぐに売り切れるので、事前予約をおすすめする。















