3時間12分という長さで観るか迷ったが、映像美がすごいというので鑑賞してきた。ほんと異世界の自然や生物が実在するかの如く美しくて驚異的な映像体験だった。本作を鑑賞する際は、IMAX 3Dでの鑑賞を強く推奨したい。実はアバターは5部作で本作が2作目。前回が森で、今回が海で、次の舞台は砂漠で、山・(北極や南極のような)極圏と舞台が移り変わる予定だそうだ。次はどんな幻想的な世界観だろうと今からワクワクが止まらない。
アバターは、新世界で資源を強奪しようとして、現地人の虐殺と環境を破壊するというのは、現に欧州人が北米・南米・オーストリア・NZ・アフリカ・アジア(ほぼ世界中か(^-^;)などで行ったことだが、それが今度は別の惑星で起こりえるだろという悲観的な仮定のSF。しかし、それを圧倒的な映像美や戦闘シーンで娯楽作品に仕上げている。おまけに主人公なども全く人間とは異なる外見ながらかなり感情移入してしまう。3時間を超す作品で、これだけ没入させるとはさすがキャメロン監督である。
なお、クジラ漁のシーンであるが、資源を取ったら遺体は捨ててしまうというのは、まさにアメリカが鯨油をとったら後は捨てていたという歴史的な事実をベースにしていると思われる。昔は、米国も捕鯨をしていて(マルヴィルの小説「白鯨」のテーマにもなっている)、鯨油を取ったらあとは捨てていた。日本は捕鯨はするが、命に感謝し、全て無駄にしなかったが、全く発想が真逆である(ペリーが来日したのも捕鯨船の寄港地・食料や燃料の補給地として利用するためだ)。自然に神々が宿るというアニミズム的発想と異なり、人類の有する理性と知性を自然を制圧すべしというのは欧米人の発想であり、本作では人類が後者として描かれる。
ところで、キャメロン監督と言えば「タイタニック」がやはり有名だが、本作では沈没シーンや船内に取り残されるシーンなどでオマージュを感じた。いやはや、歴史に残る一大叙事詩になりそうな大作の二部作をリアルタイムで視聴出来てよかった。自作にも期待したい。
★3.9 / 5.0
