錦糸町のすみだトリフォニーホールで開催された「エリソ・ヴィルセラーゼ ピアノリサイタル」へ行ってきた。
エリソ・ヴィルサラーゼは、ジョージア出身のピアニスト。モスクワ音楽院に進みゲンリフ・ネイガウスとヤコフ・ザークに学び、チャイコフスキー国際コンクールで第3位入賞。その後、シューマン・ピアノコンクールで優勝した。1942年生まれで御年80歳である。
(プログラム)
モーツァルト/幻想曲 ハ短調K.396
モーツァルト/ドゥゼードの「リゾンは森で眠っていた」の主題による9つの変奏曲 K.264
モーツァルト/ロンド イ短調 K.511
ショパン/ワルツ第19番 イ短調 ⇒ ショパン/ワルツ第3番 イ短調に変更
ショパン/バラード第2番 ヘ長調 作品38
モーツァルト/幻想曲 ハ短調 K.475
モーツァルト/ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457
ショパン/ノクターン第7番 嬰ハ短調 作品27-1
ショパン/ノクターン第8番 変ニ長調 作品27-2
ショパン/バラード第3番 変イ長調 作品47
いやはら、80歳とは思えない。リヒテルと親交を結び、ロシアンピアニズムの泰斗である。正統なアプローチからのモーツァルトは見事である。一方で、ショパン演奏では推進力を感じる。特にバラード第2番の激情的なモチーフは何度聴いても素晴らしい。御年80歳でここまでの推進力を出せるとは、その鍛錬には恐れ入る。ロシアンピアニズムを聴くと、音の濃密さゆえに、油絵を連想するが、本当に一音一音の持つ引力に驚きを感じる。
さて、休憩時間はやはりスパークリングワインですよね(?)。スペインのCAVAでした。CAVAとは、シャンパンと同じ製造法のスペインを代表するスパークリングワインである。シャンパンは有名だが、イタリアのフランチャコルタとかも高品質である。こちらのフレシネ・コルドン・ネグロは、BRUT(辛口)で、キリっとしまった味わい。ただおつまみ無しだとちょっと辛過ぎかな( ̄▽ ̄;)
後半の、モーツァルトの幻想曲 ハ短調 K.475からのピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457は流れが本当に絶妙。そしてノクターン第7番、ノクターン第8番、バラード第3番は絶品だった。80歳でこれだけの演奏を維持できるとは、本当に頭が下がる。ロシアンピニズムを伝える偉大な芸術家である。
帰宅するときはすでに夜。東京スカイツリーが夜空に美しく映える。ライトアップが大変に上品で粋だ。
よい休日だった。