ジュネーブ国際音楽コンクールのピアノ部門の最終選考が3日、スイス西部ジュネーブで実施され、東京都出身の五十嵐薫子さん(28)が3位に入賞した。最終選考には五十嵐さんら4人が進出しており、優勝はカナダのケビン・チェンさん(17)。- 日経新聞
スイスで長い歴史を持つジュネーブ国際ピアノコンクールで五十嵐薫子さんが第3位に入賞した。同コンクールはイタリアの巨匠ミケランジェリ、ショパンコンクールの覇者となったポリーニ・アルゲリッチなどが入賞している。去年のショパンコンクールでは第2位に反田恭平、第4位に小林愛実が入賞したが、他にも日本人の若手ピアニストは海外のコンクールで入賞が続いている。2021年のリーズ国際ピアノコンクールでは小林海都が第2位、2019年のロンティボーコンクールピアノ部門では三浦謙司が優勝し、第2位に務川慧悟が入賞、ブゾーニコンクールでは桑原志織が第2位入賞。世界三大コンクールのチャイコフスキーコンクールピアノ部門(2019年)では藤田真央が第2位、エリザベート王妃国際コンクールピアノ部門(2021年)では務川慧悟と阪田知樹が第3位と第4位に入った。他にも黒木雪音がダブリン国際ピアノコンクールでの優勝(第2位も日本人で古海行子)に続いて、2022年リスト ユトレヒト(リストコンクール)で優勝。2019年から2022年にかけて若手ピアニストの主要なピアノコンクールで入賞ラッシュと言っていい状態である。
画像:出典LINK、the XV International Tchaikovsky Competition
2000年頃から2010年代中頃まで韓国勢・中国勢にかなり押されて日本人ピアニストの埋没が叫ばれたが、ここにきて日本人ピアニストが復活してきている。ただ気になるのはなぜ日本人ピアニストがここまで入賞が増えたのかという点である。日本の音楽教育の努力の賜物かもしれないし、一方で、入賞者を国籍別でカウントし累積数でバランスを取っていたという可能性もある。一定期間、韓国・中国の入賞者を多めにしていたが、そろそろバランス取れてきたので日本人の入賞を復活させてきたといううがった見方もできる。特に国際コンクールは、入賞者の国籍が特定の国に偏ると、”国際”と銘打っている意味がなくなる。さらに、スポンサー企業への配慮の問題もあろう。ショパンコンクールではポーランド人のコンテスタントに甘いと言われているが、実際、ポーランド開催でポーランド人が皆無だとすると、現地での批判が出てしまうので仕方がない側面もある。これはただの邪推であるが。
とにもかくにも日本人の若手ピアニストの今後の活躍に期待である。また入賞者ばかりが取り上げられるが、入賞はあくまで審査員の評価でしかない。入賞はしなかったが良い音楽性を持ったピアニストは大勢いるので、彼らにもスポットライトがあたるといいなと思う。