米連邦準備制度理事会(FRB)が21日(現地時間)、0.75%の金利引き上げを決定すると、韓国ウォンは1ドル=1400ウォン台まで値下がりした。歯止めがかからないウォン安ドル高に秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官は発言の強度を高めた。「模索する」から「措置を取る」に重心を移した。1ドル=1400ウォンを超えてウォン安ドル高が進んでいるため積極的に行動するということだ。-中央日報

 

もともと1ドル=1200ウォンが「マジノ線」と言われていたが、いつの間にか1250ウォン、1300ウォン、1350ウォンがマジノ線と後退し、1400ウォンが心理的防衛ラインと言われたが、それもあっけなく突破されてしまった。日本も円安が進んでいるが、それは大規模な金融緩和を継続して利上げをしていないからである。韓国は利上げをして、さらに外貨準備を切り崩して為替介入を行ってウォン安が止まらないから事態は深刻である。

 

韓国は勝手に日米が通貨スワップを締結してくれ助けてくれると思っているようだが、その神経が分からない。日本への非礼の数々は言うに及ばずだが、アメリカに対しても訪韓したペロシ下院議長との対面を拒否し、さらに尹錫悦大統領は訪米中に「この野郎ども(米国議会)が承認してくれなければ、バイデンは赤っ恥だ」と発言し、それがスクープされている(LINK)。弱腰で親中の岸田は韓国と懇談してしまったが、韓国が勝手に主張していた米韓首脳会談は、バイデン側の意向で不発に終わった。韓国は一方的にアメリカの電気自動車補助金支給から韓国メーカーが除外されたインフレ削減法問題と、米韓通貨スワップが議論されると報じていたが、一方的な願望だったことが明らかになった。韓国側の大統領の暴言もあって、アメリカの対応はさらに冷めたものになるだろう。

 

日韓首脳会談も勝手に韓国が主張していたことだが、弱腰の日本側が折れたのだろう(日本側は懇談と主張しているが、韓国は略式階段としている)。レーダー照射から慰安婦合意破棄、徴用工問題など、数々の韓国側の一方的な問題行動が何一つ解決も謝罪もない中で、岸田が韓国と懇談してしまったことは韓国側を助長しかねない(韓国の行動に問題がないからこそ日本は会談に応じてくれたのだと韓国側は受け取りかねない)。日本が譲歩すれば丸く収まるという甘い考えは失敗だったことは歴史的に明らかだが、ほとほと日本は学習能力がない。

 

好き勝手しても日米が助けてくれるだろうという楽観論は日米が甘やかしてきた結果だと思うが、バイデンでもそこまで甘くないというのが今回の対応で明らかになった。通貨スワップが絶望的なので韓国は単独で為替介入するしかないが、効果は一時的である。利上げをおそらく実施するが、韓国の景気は落ち込むし、世界最大の家計債務はさらに膨れ上がる。不動産価格はさらに頭打ちで下落に転じているが、さらなる利上げは不動産バブルの崩壊の引き金になりかねない。韓国は出生率も世界最低で、日本の少子高齢化は目ではない。

 

ただ日本も金融緩和を維持しているが、円安がこのまま進めばドル換算で、人口8000万人のドイツにGDPで追い抜かれる危惧がある。半世紀にわたり世界第2位の経済大国だったが、10年ほど前に経済力で中国に追い抜かれたが、さらに人口が日本の3分の2のドイツに追い抜かれるとなれば日本人の心理的なショックは大きい。韓国を笑えるほど、日本も楽観視はできない経済環境である。

 

だいたい日本はAO推薦を拡充して入試を楽にするが、一方で大学の進級・卒業要件はそのままで”学ばない学生”を増産し、さらに解雇規制は厳格で、正社員になってしまえばそうそう解雇されないぬるま湯の労働環境を維持している。結果的に働かずに居座る高給のおじさん正社員が幅を利かせて、年功序列の雇用慣行でしわ寄せを受けた若年労働者は低賃金で結婚もままならずに少子化が進んでいる。学術界に目を向ければ、博士取得しても非正規雇用だらけで、高学歴ワーキングプアが増加。優秀な人材は学術界を目指さなくなっている。大学の進級・卒業要件の厳格化、さらに解雇規制の緩和による労働市場の競争化をしないと、学ばない学生、スキル開発をしない労働者だらけになる。ただ日本の将来に明るさを見出すことは難しい。韓国の未来はかなり暗いが、日本も五十歩百歩なのが現実である。