ことしの司法試験は、受験者数が過去最少となる中、合格者は1403人と、現在の試験制度が導入されて以降最も少なくなり、政府が目標としている1500人を3年連続で下回りました。(中略)ことしの司法試験の合格者は去年より18人少ない1403人で、現在の試験制度が導入された平成18年以降、最も少なくなりました。政府が目標としている1500人を3年連続で下回った形です。-- NHK

 

司法試験の結果が発表された。1403人の合格者でした。もともと3000人合格だとか、目標を下げて2000人合格だとか、1500人合格だとか言っていたが、目標が破綻したことを意味している。受験者数も、これまでで最も少ない去年をさらに300人以上下回り、たったの3082人。旧司法試験時代は数万人の受験者がいたと思うと、おぞましいほどの少なさである。

 

そして予備試験合格者の司法試験合格率は97.5%でほぼ100%に近いので、二度も試験をやる意味があるのかという次元である。

 

優秀層は予備試験を経由するのは明白であり、法科大学院は、予備試験に合格できない人の迂回ルートと言っていい。

 

法科大学院別の合格率では京大・東大・一橋・慶應・東北と上位校が並ぶが、試験対策を実施している愛知大もやはり強い。それに続き、神戸・大阪・早稲田と上位校が続く。変則的な愛知大を除くと、とりあえず、東京・京都・大阪・東北・神戸・一橋・早大・慶應の8校ぐらいに入っておきたいというところだろうか。(なお、トップグループでは合格率が低い早大は、学部入試でもそうだが、多様性重視&やる気重視の訳の分からない方針は改めた方がいいと思う・・・)。

 

旧帝大でも九州大学 33.3%、北海道大 27.8%、名古屋大 26.9%は、全体平均を下回りふるわない。早慶に準じるといわれる上智大は13.3%の合格率で明治・立教・法政の後塵を拝しており、法科大学院の脆弱さが浮き彫りになった。そして衝撃的なのが、当初は「法科大学院 神7」で、かつては「東大の赤門、中央の白門」といわれた司法の名門の中央大学が、合格率26.2%と低迷している。中央大は大規模校なので定員を埋めるために、合格水準にない生徒も入学させたことがあだとなったのだろう。”北陸の雄”こと金沢大も合格者1名なので、存続するかの瀬戸際だろう。

 

法曹不人気で司法試験に合格できる優秀層は、基本的には東京・京都・大阪・東北・神戸・一橋・早大・慶應あたりににすっぽりと収まってしまうようである。それ以外の法科大学院からの合格者もいるし、存続させるかは任意だが、個人的には合格率が25%未満の法科大学院は要らないと思う。だいたい学部卒業後に2~3年も余計に学費を支払って勉強して、4人に1人も受からないのは、もはやその法科大学院は貴重な人材を”社会的損失”に変換する装置である。

 

弁護士になっても、上澄みの一部の上位層を除くと、高給も望めないので、だったら英語なりITを勉強してコンサルに就職したほうが遥かに稼げる確率は高いと思う。いかんせん法曹を目指すコストに比して、あまりにもリターンが寂しい。リターンが寂しいのであれば、だったら法曹を目指すコストを下げる必要があるが、政府はその動きもない。ただ法科大学院は利権の問題もあって固持するようだから、このまま司法試験は合格者数維持の力が効くなら、合格率は年々高まるのでこのまま過半数が合格するようになれば、法科大学院進学も、確率論でいえば、あながち悲惨な選択肢でもないと思う。

 

【法科大学院合格率ランキング】※括弧内(合格者数/受験者数)の表示
01 予備試験 97.5%(395/405)
02 京都大学 68.0%(119/175)
03 東京大学 60.9%(117/192)
04 一橋大学 60.0%(066/110)
05 慶應義塾 57.5%(104/181)
06 東北大学 56.3%(027/048)
07 愛知大学 50.0%(002/004)
08 神戸大学 48.6%(054/111)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 法科大学院既修コース修了者平均47.7%(790/1656)
09 大阪大学 45.9%(051/111)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 全体平均45.52%(1403/3082)
10 早稲田大 44.8%(104/232)