最近、かけていた生命保険が満期になったので、新しい積立型の生命保険を検討していて、この前、契約してきた。それにあたり、結構、金融や節約系のユーチューバーが、民間の生命保険や医療保険は不要だという論調が多く驚いた。実際、日本の公的医療制度はかなり充実しているので、最低限は保障されているが、それでも保険はほとんど不要というのはちょっと違和感を覚える。

 

保険不要論で分かりやすいのは次の動画だろう。一部、その通りだと思うところもあるが、個人の属性によって保険の要否は違くないか?と思うところもある。一般論として保険不要というのは、ちょっと無責任ではないかと思う。また、生命保険・医療保険に入っている人を嘲笑う感じが鼻につく。

医療保険不要論の主張をまとめると、そもそも医療費は3割負担で、また、高額療養費制度があるので医療費はそこまで高額にならないので貯蓄でカバーできる。保険代理店やらネットの記事などで保険加入を進めているのは、ただの金儲けだという。

 

上記の主張の、医療費は3割負担・高額療養費制度があるので、それで十分というのは現時点の話である。これから2050年には高齢化率は4割近くになるので、いまの財政状態で現状の国民健康保険の保障水準が維持されるとは思えない。公的保障が改悪された場合の想定がないのはあまりにも楽観的であろう。また、貯蓄でカバーできるという点については、貯蓄が万全になってから病気になればその通りだが、まだ貯蓄が出来ていない段階で病気になった場合には対応できない。また、老後に病気が頻発するようになって貯蓄が医療費で目減りしていくのはかなりストレスだと思うし、確率は低いとはいえ、医療費が結果的にかさんで貯蓄が底をついたら生活保護である。老後は収入源が主には年金なので、貯蓄でカバーすればいいというのは健康な人や金持ちならそうだが、健康でい続けられるかは分からない。高齢者になってから医療保険に入るのはかなり高額になるので若いうちに安い保険料で入っておくほうがリスクは低い(精神衛生上も良い)。また、保険代理店やらネットの記事などで保険加入を進めているのは、ただの金儲けというのもその通りだが、資本主義社会なのだから金儲けではないのは慈善事業か公的福祉ぐらいで、民間のサービスは有償(金儲け)なのは当たり前である。このブログサイトだって、目の前の情報端末だって全て民間企業のサービス=金儲けである。だいたい保険不要論を語るYoutuberの動画も広告収入目当ての金儲け動画であろう。

 

生命保険不要論についても、主張としては、積立生命保険はぼったくりの投資商品でもっと利回りの良い投資商品にしたほうが良い、扶養家族がいる場合のみ掛け捨ての生命保険で十分、というものである。正直、後者については、残された家族想定なんだろうけど、賃貸暮らしの独身者が孤独死して、特殊清掃費用とかかかると、親族に迷惑かかるので、扶養家族がいる場合のみ掛け捨て生命保険で十分というのは限定し過ぎな気がする。そして、よく批判される前者についてもその通りだが、払戻率が100%を超えているなら損ではない。そして代替の利回りの良い投資商品というと結局、投資信託・株式・債券だになると思うのだが、これらは利回りは良いが元本保証がないので、会社が倒産すれば紙くずだし、自分が亡くなったときに株が大暴落みたいな事態になれば、試算はかなり目減りする。結局、株式市場とかを盛り上げたい個人投資家のポジショントークにしか聞こえない。

 

保険不要論者は、保険の割りの悪さを殊更に取り上げるわりに、株や債券などの投資商品のリスクについて言及しないのはアンフェアである。株や社債で運用しておいても、引退直後に紙くずになるリスクも踏まえるべきである(確率論でいえばかなり低いとはいえ)。もし自分が引退するタイミングで、世界的に景気後退になり、大不況が暫く続いた場合、目減りした資産で糊口をしのぐことになる。安定性という点では、保険は必ずしも悪いものではないのかなと思う。ただ私の指摘したリスクが顕在化する確率を踏まえると、保険不要論者の主張はあながち間違っていないが、現時点で将来どうなるかは予測がつかないので、自分の資産のポートフォリオに保険商品が入っているのは不合理ではないと思う。とはいえ、保険も投資も自己責任でということにはなるし、未来は予測できないので結果論でしかないのではあるが。ただ保険不要者のポジショントークに乗せられ過ぎない方がいいと思う。

 

(追伸)ちなみに、今回私の契約した保険商品は、外貨建て・利回り固定で、その利回りが現時点でかなり高いので、為替手数料・為替リスクを考慮しても割りが良いと判断して契約している(損益分岐点も計算したが損する確率はほぼ0%)。これで保険がかけられて、かつ控除もあるので、別に悪い選択ではないと思う。投資に回せばという意見もあるが、前述のとおり、株・社債・投資信託の方がリスクは高い。