近年最悪規模となったイスラエルとパレスチナの衝突は12日も収まる兆しがなく、パレスチナ自治区ガザ地区の保健当局によると、これまでに子ども16人を含む少なくとも65人が死亡、365人以上が負傷した。一方のイスラエルは、死者のうち少なくとも15人はガザ地区を実効支配するハマスの戦闘員だとしている。

 

国連のトール・ベネスランド中東和平特別調整官はツイッターで「直ちに攻撃をやめよ。事態は全面戦争に激化しつつある」と言及。「ガザでの戦争の代償は壊滅的なもので、一般の人々が代償を払っている。国連は平穏を取り戻すために全関係者と協力している」と述べ、暴力の即時停止を呼び掛けた。- CNN

 

このイスラエル・パレスチナ問題は国際政治の現実を教えてくれる。日本の護憲派は、憲法9条があれば平和は保たれるという信仰を持っているが、国際政治の現実はパワーとパワーのせめぎあいである。憲法9条がそんなに素晴らしいものであれば、護憲派はイスラエル・パレスチナで、憲法9条の講義を前線でしてくればいい。メディアでも、普段は野党や左派系メディアでは、憲法9条があれば平和は保たれるという夢想的見解が散見されるが、こういう現実的な紛争のニュースになると、突然、息をひそめるのは卑怯だ。

 

日本でも、左派系の命脈はいまだに続いており、それに感化される学生も少なくない。一時期メディアを賑わしたSEALDsという学生政治団体が代表的であろう - ただ実際は年配の人が大半だったと、元構成員が明かしているが(LINK)。彼らのスピーチで印象的なのは次である。「そんなに中国が戦争を仕掛けてくるというのであれば、そんなに韓国と外交がうまくいかないのであれば、アジアの玄関口に住む僕が、韓国人や中国人と話して、遊んで、酒を飲み交わし、もっともっと仲良くなってやります僕自身が抑止力になってやります。抑止力に武力なんて必要ない。絆が抑止力なんだって証明してやります。」LINK

 

こうした発言は、平和な日本だからこそできる妄想である。イスラエルやパレスチナで、ミサイルや実弾が飛び交う中で、こうした妄想は通用しない。必要なのは飛来するミサイルを迎撃する「アイアンドーム」のような防衛システムである。国際政治学でいうリベラリズムの取り組みも必要であるが、国際政治に通底しているのは「力の均衡」というリアリズムである。日本が戦争に巻き込まれずに戦後歩めたのは憲法9条ではなく、日米同盟と米国の核の傘があったからである。

 

日本だと戦争は歴史の話と思われているが、2014年にはロシアがウクライナのクリミア半島に侵攻しているし、近年でも中国・インドの国境では軍事衝突がたびたび起きている。いま中国は膨張の一途であるが、そんな中国は「核心的利益」として日本の尖閣諸島を挙げている。これについて日本を狙っているというのは思い上がりである。中国が欲しているのは台湾攻略であり、台湾攻略によって容易となる太平洋エリアへの航路である。「核心的利益」の西沙諸島はすでに軍事要塞化が進んでいるので、尖閣諸島を日本から奪取できれば、台湾を大陸側・尖閣諸島側・西沙諸島側の三方向から砲撃できるのだ。それの目途が2026年と明言してくれているのに、日本はその危機感が薄い平和ボケなので中国にとっては好都合である;ただ実際のところ日本の自衛隊は尖閣諸島の防衛シミュレーションを幾重にも重ねているそうであるし、アメリカの尖閣諸島は安保の適用対象としている。

 

こうした具体的な軍事的な衝突やその危険性は置いておいて、平和というお題目を唱えるとすれば、もはや日本のジャーナリズムは存在価値がない。ただあまりにも平和が長く続いたので、中国や北朝鮮のミサイルが着弾しない限り日本は目が覚めないだろうと思う。