早稲田大学は2018年に、政治経済学部の一般入試で数学を必須科目(数学I・A)にすること等々を発表し、3年間の周知期間を経て今年2月に実施した。-東洋経済

 

早大政経がなにやら文系なのに数学を必須化したといろんなニュースで取り上げられている。文系3科目+数学1Aが必要になって大騒ぎということらしい。ただこのニュースにはちょっと違和感がある。政治経済学部は「国際経済学科」と「経済学科」があるが、海外では経済学は理系の学問とみられることも多い。実際、経済学をやればわかるが、数式のオンパレードである。経済学者の経歴をみると、数学専攻の人も目につくし、ノーベル経済学賞受賞者のジョン・ナッシュは経済学者ではなく数学者だった。それに政治学や国際関係学なども統計を使った実証や、ゲーム理論による数理モデルでの分析が主流になってきているので、数学の基礎力がないとほとんど最前線の研究は理解できない。ちなみに、海外の論文を読むには英語力も必須である。

 

ただ実際のところ早大ぐらいの倍率だと、くじ引き的要素も入ってくるので、科目数が増えて志願者が減ってくれた方がくじ引き的要素が減るので受験生にとっては良いのではないかと思う。志願者はかなり減ったようだが、文系専願が減っただけで、国立大(東大・京大・一橋等)との併願者にとっては倍率が減ったので恩恵であろう。志願者が減って倍率が下がっても、受験者のレベルが維持できるのであれば、受験料収入の減少という面はマイナスだが、学生の選別という点では特にデメリットはない。

 

青山学院大も志願者を減らしているが、共通テストに加えて二次試験という国公立型の方式にして、さらに法学部の場合だと、二次試験が総合問題(国語か英語 + 日本史B・世界史B・政治経済)となったので幅広い知識が求められるため忌避されたようだ。しかし、志願者減少で相当入りやすくなったかと思いきや、青学大法学部の共通テストのボーダーは82~83%(3科目)であるが、3科目入試(共通テスト+二次試験)で受験可能な、国立の滋賀大経済は前期76%・後期78%(3科目)であり、信州大人文も77%(3科目)であるから、地方国立大のボーダーを大きく上回る。志願者が減っても、受験する層のレベルが維持できれば問題ないのである。

 

入試改革はかなり混乱を招いたし、過渡期の学生は気の毒だが、時代によって求められる学問も変容するので、時代にあわせて変革していくことも重要なのだ。一方、学部構成はあまり改革されないが、AI・IT・情報系の学部が絶望的に少ない。明らかにIT人材不足で、AI化にも乗り遅れているのに、危機感がない。受験生側も安易に文学部などを選ぶ人いるが、社会人になってから活躍したいのであれば実用的な学問を選んだほうがいいと思う。文学が重要性が低いといっているわけではない。欧州上流階級では文学の知識は一般教養である。しかし、庶民が生きていくうえで、大学レベルの文学の知識は必要ないし、労働者の需要と供給の観点からも需要があるとは到底思えないのだ。