ペッパーフードサービスが15日、2021年12月期1月度実績を発表しました。同社では、1月中も引き続き、新型コロナウイルス感染防止のため一部店舗で営業時間短縮または休業措置をとっています。また、ペッパーランチ事業を運営する株式会社JPの全株式を譲渡する契約を、2020年7月3日付で締結し、同年8月31日付で完了しています。(中略) 「いきなり!ステーキ」の2021年1月の売上は前年同月比58.9%減、客数は51.0%減、客単価も16.0%減、店舗数は1月に9店舗減で、278店舗となっており、2019年11月の489店からは211店舗減っています。-- ネタとぴ
◆株式会社ペッパーフードサービス
「「いきなりステーキ」: 改悪連発で常連客を切り捨てて「いきなり倒産」か!!??」の記事で、「薄利多売の方針は到底上手くいかないと容易に予想できる」と予測していたが、案の定その通りになり、単価を下げて集客をはかったが、緊急事態宣言もあって客足が伸びず、結果的に売り上げが前年同月比で6割減となった。最近は
通常のステーキよりも原価が安いから利益を出しやすいからか、ハンバーグメニューを増やしているが、これではステーキ屋さんではなくハンバーグ屋さんである。決算短信をみても前年同月期よりも売上高は半減、営業利益・経常利益ともに赤字に転落。全く経営が改善されておらず悪化の一途であることが分かる。
売上はシンプルな算式だと「客単価×客数」で求まる(レストランは入店すれば注文するから購買率は考慮しない)。単価1,000円のお客さんが100人くれば、売上100,000円である。もし単価を800円に下げる場合、お客さんは125人来てくれないと売上は維持できない。もちろん200円の値下げに反応して130人のお客さんが来てくれた場合、売上は伸びる。価格に対して需要がどのように反応するかを価格弾力性というが、コロナ禍だと価格弾力性は鈍く、いくら値段を下げても客先は売上を維持するほどの客数は伸びないと容易に予測できる。
コロナ禍では安いメニューでお客さんを呼び込んで、魅力的な有料トッピングや単価の安いアルコールのセットなどで単価を高める戦略をとらないと単に客単価も下がって客数も減って売り上げが下がってしまう(個人的には欧米では動物愛護の観点でフォアグラ禁止でフォアグラが余っているそうだからフォアグラトッピングなんてあったら食べてみたい)。要は「いきなりステーキ」の古参の顧客を冷遇した単なる低価格路線はコロナ禍では悪手でしかないということだ。出店もGoogleマップみて適当に決めていたそうだから、ここらへんのことは全く考えていないのだろう。要は経営者が無能なのである。
その点、日本マクドナルドの原田元社長は優秀だった。まず、オペレーションを改善したうえで、低価格メニューを投入して客数を増やし(オペレーションを先に改善しないと客数が増えたときにさばききれないので先にオペレーション改善を実施していた)、そこに高価格メニューを売り出すことで、客数アップと客単価アップにより売上を増大させたのだ。これをマスコミは当時「原田マジック」と呼んだ。「いきなりステーキ」はこの真逆で、出店スピードが急速でオペレーションを悪化させた挙句に、低単価路線に走り、さらには古参のファンを切り捨てために特典改悪を行った。いうなればいきなり自爆戦略といえる。
ちなみに、実のことちょいちょい用事があって出かけたときは、いまでも「いきなりステーキ」には通っている。改悪後の「いきなりステーキ」は、「あり」or「なし」?の記事でも書いたが、プラチナ会員以上だとアルコール一杯が無料なのでちょい呑みのお店としてはコスパは悪くない。ただ、行くたびに思うが、やはり会員制度の改悪は酷いと思う。私は東京のターミナル駅へのアクセスが良いところに住んでいるの問題ないが、店舗も減っているので来店がそもそも物理的に難しい人も多いのに加え、コロナ禍という悪条件も重なっているのに、半年でランク条件回数を来店しないとランクダウンするシステムはさすがに酷い。それに誕生日クーポンがどのランクも一律500円クーポンというふざけた特典になったため、正直、アルコール1杯無料の特典狙いの顧客からすると、プラチナ会員からダイヤモンド会員にランクアップするメリットがない。プラチナ会員とダイヤモンド会員の相異だが、ダイヤモンド会員は同伴者も好きな飲み物が無料になるが、シングルの私には関係ない特典だし、実際、いきなりステーキは一人で来る人も多いので、そこまで魅力的な特典ではない。
特にデータがあるわけではないが、レジでの会話を聞いていると、以前よりも「いきなりステーキ」の肉マイレージ特典を知らずに来ている人が増えたように思うし、アプリ登録していない人も多い。古参の顧客が減って安さにひかれて入店した人が増えたのだろう。プラスチックの肉マイレージカードを廃止したのでアプリ登録しなければならないが、これが面倒で登録していない人も相当多いと思う(つまりリピーターにつながっていない)。
客単価の高いお客さんには2ポイント付与するとか、誕生日特典も一律500円ではなく、プラチナ会員は1000円、ダイヤモンド会員は2000円ぐらい傾斜をつけないと上位ランクを目指すメリットに乏しい。他にもダイヤモンド会員についてはランクダウンの基準を緩和するとか、とにかく既存制度は、上位ランクを目指すインセンティブに乏しい。緊急事態宣言も延長されているが、コロナ変異種のリスクも気になる。客単価を下げたが、客数もこのまま回復しないとなると、倒産一直線である。ちゃんとした会社にコンサルしてもらって経営再建を目指した方がいいと思う。ここまでくると計画倒産なのかとすら疑ってしまう。