前職の同僚から電話がこの前あった。会社を辞めて予備試験を目指していたが、結局、予備試験のハードルが高過ぎるので、法科大学院へ行くという。一応、LL7(東大・京大・一橋・神戸・早大・慶応・中央)に合格を貰ったらしい。しかし、彼ももう30歳ゆえ落ちた時がやや不安らしいが、前職からは戻ってきてもよいといわれているそうで、一応セーフティネットがあるから少し安心といっていた。
一方で社会人経験がなく司法試験を目指している人は、司法試験をパスできないと正直なところ就活はしんどいと思う。コロナで求人数も減っているのに加えて、弁護士も飽和状態で、溢れた弁護士が企業法務にも流れ込んでいる。そんな中でわざわざ大学院を経て司法浪人した職歴無し20代後半を採用するかというと、なかなか厳しい。もちろん、法科大学院修了生をターゲットにしている企業もあるが、法務部は採用が少ないので熾烈な戦いとなる。
社会人になって思うが、正社員は本当に守られている。その反面で解雇が難しいという問題がある。問題のある社員を採用してしまっても容易に解雇できないので、会社は正社員の採用にはとても慎重である。特に企業法務は要はサラリーマンゆえ、法律知識以外にもコミュニケーション能力・社内調整能力なども求められる。勉強ばかりしてきて社会人経験はゼロという人を採用するのは勇気がいるのが実際だ。だから個人的には法学部卒業していきなり法科大学院進学はかなり慎重になった方がいいと思っている。
法科大学院の場合は司法試験に落ちると不合格者の烙印が押されてしまうので悲劇だが、受かってもなかなか法曹の労働市場は厳しそうだ。去年5月に「法律事務所の採用はかなり抑制されるから採用の確率は大幅に下がる」(LINK)と書いたが、リアルにそうなっているようで、次のようなツイートがあった。求人数が大幅に減っているのだ。正直、データの信頼性の問題はあるが、今の経済環境だと増える材料がないから概ね事実だろう。ワクチンも出来ているが、変異種も出てきているから今年中にコロナ鎮静化するとは思えない。
73期(2019年9月18日時点)と74期(2021年1月28日時点)のひまわり求人求職ナビで結構違いがありますね。
— 弁護士×就活Blog -Ginza library- (@GinzaLibrary) February 1, 2021
73期:約400件求人:金額明示約111件(約27.8%)
74期:約226件求人:金額明示 6件(約2.7%)
集計が違うとはいえ、おおきな差がありますね。そして、求人数が圧倒的に違うような…
それにしても予備試験の合格率は4%だが、本番の司法試験はいまや4割である。受験資格を得る試験のほうが、本番の試験の難しいという歪な制度になっている。一方で法科大学院は定員割れで誰でも全入状態で、ここを卒業して司法試験に挑めば10人中4人がパスするから、法科大学院のほうが予備試験の抜け道のようにすらみえる。文科省はなんとしても法科大学院利権を維持するために法学部に法曹コースをつくったが(学部3年+法科大学院2年で合計5年で修了可;法学部はもはや短大一歩手前)、これで人気が回復するとは思えない ― これから大学に入る人はいいが、社会人には何の恩恵もない。
このまま司法試験合格率が上昇を続けて司法試験合格率が6~7割になれば法科大学院の人気も復活するかもしれない。しかし、正直そんな高合格率の試験の資格にどのような価値があるのだろうか。いまですら公認会計士・弁理士・司法書士・税理士のほうが難しいという人すらいる有様である(少なくともこのサイトだとその扱い)。私の元同僚が路頭に迷わないことを祈るが、これから法科大学院進学という人もよく進路を見極めた方がいいと思う。
