年末年始であるが、東京はコロナ感染者数が増加傾向で会社の忘年会は今年は自粛。数人の友達との忘年会やらZOOM飲み会だけやっただけで、大半の時間は自宅で自由時間である。仕事も在宅勤務ゆえ外出頻度は本当に低い。せっかく自由時間が多いので、自己投資の機会と思い資格試験の勉強しつつ、気になった本や映画をとりあえず手当たり次第に消費している。年末年始は読書と映画三昧になりそうだ(あと英検1級などの勉強も少々)。
ビジネス書は内容がピンキリだが、やはりたまに読むとモチベーションアップになるのは事実だ。本書は著者のマイクロソフトの元業務執行役員の越川氏の興した会社のクライアント25社に協力してもらって、各企業トップ5%の社員に共通することをAI分析した内容をベースにしている。
とりあえず、目立った特徴をまとめると次の通りだ。
・結果重視
・弱みをあえて見せて信頼関係による人的ネットワークを拡大
・意識改革の前にとにかく行動
・目標とのギャップを把握
・有酸素運動を好む
・読書を良くする
・完璧を目指さない
・仕事の振り返りをする
・笑顔が多い
・同僚との距離感をとるのが上手
・周囲のモチベーションをもあげる口癖
・レスポンスが早い
・新しい経験・刺激を好む
・アウトプットを好む
日本だと座学の勉強が重視されるが、実際のところビジネスで活躍する人材は当たり前だが勉強一辺倒型ではなく社交性や人間性も優れている場合が多い。だから、卒業後に活躍できる人材に入学してもらう趣旨で、AO推薦などの方式で学力以外の側面も斟酌することは私は間違っていないと思う。私がおかしいと思うのは、AO推薦となると学力をほとんど問わないことだ。それに入口の間口を広げるなら進級・卒業を相当に厳格化するなり、卒業時に学位を等級化すべきだ。
私の勤務先は外資系コンサルだが、たしかに本書を読んで共感するところは多い。基本的に私がやり取りするのはManager 以上であるが、やはり仕事ができる人はコミュニケーション能力が高いし、フットワークが軽い。そして、それぞれ独自の世界観というか芯がある人が多い。スポーツでも音楽でも趣味がありプライベートも充実している人が多い。頭も良くて仕事ができても、協調性がないとか人間関係構築能力がないと、マネージメント能力面の不安で上の役職に上がれないことも多い。組織とは人間で構成されているのだから当たり前であるが、その点がなぜか抜け落ちている人が多い。最近は人物評価重視だが、昔は筆記試験の順位だけで採用していたので公務員はかなり変わり者が多かったと聞く。
この前、ちょっと上司のパートナー(役職名で役員クラス)と鮨屋で話していたのだが(パートナーご馳走様でした笑)、「パートナーっていつも何考えていると思う?」というので「経営に関することととか、事業戦略とかですか?」というと、「大半は人事なんだよね」とのこと。その点で、人材を採用する場合は、仕事ができるか否かの視点も重要だが、組織にフィットするのかと、候補者のキャリアとの適合性や、すぐ潰れないか(休職したり早期退職しないか)なども重視するという。その際に、経験値として趣味が豊富で、行動力がある人材はそれらの面に強いという(つまり本書で指摘する仕事ができる上位5%の人材)。もちろん、部署やポジションによって求められる個性やスキルは違うので一概にはいえないが、本書のような内容は大いに参考になると思う。
ただ個人的に思うに、結局、上記のような素質を身に着けている人の大半は、親の影響が大きい。子供のスポーツ活動・芸術活動などもお金がかかるし、大学受験も課金ゲーム状態である。つまり、それらを支払えるかどうかの資金力がものをいう。また、親の交友関係(社会関係資本)や、話し方や立ち振る舞い(文化関係資本)も一緒に相続するので、アッパーの家庭の子女が有利である。「そういう人ばかりじゃない」という稚拙な反論もあろうが、これは「確率論」の問題で、アッパーが同じ地位を維持する確率と、下層から這い上がる確率でみれば、前者が圧倒的に確率は高いという話だ。生まれ落ちた時点で人生ゲームの難易度設定はイージーからハードに区分けされている。
読書の意義は、自分の経験のみでは知りえない領域を知ることができる点にある。本書みたいなビジネス書は結構サラリと読めるが、自分のビジネスライフにひきつけて考えてみると得るところも多いと思う。
