政府の判断で検察幹部の定年延長を可能にする検察庁法改正案をめぐり、ネットを中心に急拡大する批判から政権・与党が目を背けている。SNSへの投稿の信用度に疑いの目を向け強硬姿勢を崩していない。一方の野党は、世論のうねりと受け止め抵抗を強める。--朝日新聞
検察庁法改正に反対する人が多く、芸能人もハッシュタグで「#検察庁法改正案に抗議します」をツイートして話題になっている。しかし、芸能人は中身も何も理解しないままにファッション的にツイートしてるに過ぎない。何の違法性もなかったモリカケ騒動と類似のムーブメントである。
そもそも黒川氏の定年延長のためにこの法案を通そうと勘違いしている人がいるが、黒川氏の延長はすでに閣議決定されている。今回の法案の施行は2022年だから黒川氏の延長とは関係が無い。
「検察の人事に、政府が口を出すのは司法の独立の侵害だ!」「三権分立の危機だ!」という意味不明な見解も聞かれるが、検察庁は行政権の一部であり、行政のトップは内閣総理大臣である。司法を司るのは裁判所である。ここら辺を理解しないままに、司法の独立の問題だと発言している人は、法学基礎の教科書をまず読んだ方がいい。だいたい政府が人事に口出すと独立を脅かすというのであれば、憲法上、裁判官を任命するのは誰だと思っているのだろう。憲法に定める通り、裁判官を任命するのは内閣である。
国民が国会議員を選び、そして、国権の最高機関である国会が、総理大臣を指名する。そして、その総理大臣が大臣を任命し、内閣を構成する。これにより民主的なコントロールがとられているのだ。官僚は筆記試験を通過しただけで国民に選ばれたわけでもないし、国民の審査も受けないが、もし官僚が自己の組織の論理で人事を完結できるのであれば、官僚組織に民主的なコントロールが効かなくなる。これこそ民主主義を没却する。検察庁法改正案に抗議している人たちは、日本を民主国家ではなく「官僚主義」の国にしたいのだろうか?
だいたい検察は後進的な組織だ。検察が暴走して、無謀な取り調べや起訴を行った例は枚挙にいとまがない。日本の「人質司法」は世界的に評判が悪いが、検察が抵抗して改革が進まない。検察がストーリーを描き、それに合わせて自供を引き出している。そのために長時間の過酷な取り調べを行っているのはよく知られた話だ。堀江貴文、村上世彰、ウィニー開発者の金子勇、佐藤優などの事件は、検察の幼稚な正義感に基づくものとしか思えない。
特に堀江貴文を潰したことは日本経済にマイナスだった。もし堀江貴文がメディアを買収していたら、メディアのIT化はいまより進んだだろう。アメリカのNetflixが世界を席巻しているが、それは日本で生まれていたかもしれない。「ライブドア事件」は本当に酷かった。検察はわざわざ月曜日に強制捜査するなど(普通は金曜日に行う。土日で沈静化し株式市場への影響が少ないからだ。)経済犯罪を劇場的に演出して、「ライブドアショック」を起こし経済を混乱させた。中身を空けたら大した額ではなかったが、ホリエモンは懲役刑をくらった。一方、何倍もの規模の粉飾を行った東芝は上場も廃止されないし、だれも逮捕されていない。明らかに時代の寵児だったホリエモンは検察にはめられたのだ。
こうした見せしめ的な捜査は、経営リスクを増大させて、ベンチャー企業を委縮させ、日本経済にマイナスに働いたといって過言ではない。旧態依然とした日本経済が温存されているのは、検察がせっせと時代の変革者に成り得るチャレンジャーを潰してきたことも一因であろう。こんな筆記試験だけ優秀だったことで検察官になれた人たちの集合体である検察組織が、自己の組織内にはびこる幼稚な正義感で、権力をふるうほうが恐ろしい。
コロナ対応をみると安倍首相の動きは遅いし的確ではない。しかし、野党も安倍政権を批判するのは結構だが、こんなしょうもない検察庁法改正案に抗議していないで、コロナ対応でまともな対案の1つでも示したらどうだろうか。自民の旧態依然とした対応には辟易するのが、そんな自民よりしょうもない野党をみていると悲しくなる。芸能人も、芦部の憲法ぐらい読んだらどうだろうか。

