韓国映画初のパルムドール受賞作「パラサイト-半地下の家族」をさっそく鑑賞してきた。監督は「殺人の追憶」「母なる証明」などを撮ったポン・ジュノ。あれ、「オールドボーイ」がカンヌで賞とっていなかったっけ?と思ったが、「審査員グランプリ」だった。日本映画は国際的に評価が高く、カンヌ映画祭ではパルムドール5回、審査員グランプリ6回受賞している。非欧米諸国では最多だ。最近は韓国映画のクオリティが上がっており、国際市場でも存在感を増している。
あらすじ:失業中の主人公家族は、半地下の家で細々と暮らしていたが、ある日、長男が裕福な家の家庭教師として働くことになる。徐々にその家族に取り入っていくが、その家には隠された秘密が。そして予期せぬ事態に巻き込まれいくのだった・・・。
韓国は、貧富の格差がかなり大きいが、そんな社会の底辺で生きる家族が、裕福な家族に取り入っていく序盤はなかなかコミカルで面白く、その後、その家の秘密が明らかになってからのブラックユーモアもかなり笑える。家政婦が北朝鮮のアナウンサーの物真似をするシーンは爆笑ものだ。後半はシリアスなクライムサスペンスに転じるが、ここはテンポよく切迫した事態を描写していく。社会の貧富の格差を話のベースに据えつつ、次々と話が展開し、ジャンルも一つにこだわるでもないので、その後の展開がほとんど予想がつかず、映画に釘付けになる。出演陣は誰もが印象深く記憶に刻印され、また音楽の使い方も、映像描写も素晴らしい。
本作も韓国映画らしく「恨」が見え隠れする。朝鮮半島は寒冷地帯で土地は痩せて人口が少ないため弱小国家で(一貫して日本の人口の2~4割程度しかいない)、周辺を大国に囲まれていたので何度も侵攻され、庶民は貧困に喘いでいた。おまけに李氏朝鮮は仏教を排斥し儒教を尊んだが、儒教は序列を重んじるため社会格差が大きい。李氏朝鮮において500年にわたり、社会的に下位におかれた者は抑圧され、その苦渋・嫌悪・苦痛・憎悪・悲哀・無念などの感情は昇華されずに鬱積していった。儒教には社会規範としての性格が強く、”救済”の概念がないので、その鬱積した感情は、ときに爆発する。これが韓国の「恨の文化」だ。日本人からすると韓国人の感情の荒さは驚くべきものだが、これは文化的なものなのだ。はっきり言って本作の後半の激情や残忍さは日本人には到底理解できないが、あくまで劇中でみると新感覚で素晴らしく興味深い。
良くも悪くも韓国らしい映画で、ポンジュノの作家性がよく出ている作品である。韓国映画初のパルムドール賞受賞作ということで、映画好きにはオススメだ。ただ韓国の他のクライムサスペンスに比べてラストはまだ明るいが、やはり残忍なシーンはグロいので、苦手な方にはオススメしない。
★ 4.0 / 5.0
