ニューヨークの自宅を売ってシンガポールに移住したという彼は、「19世紀は英国の時代、20世紀は米国の時代だったとすれば、21世紀にはアジアが重要になる。韓国にも、もうすぐ38度線がなくなり、8千万人口と北朝鮮の資源が伴うだろう」とし、統一した韓国の未来を楽観視した。-- the hankyoreh

 

ジムロジャーズといえばバフェット、ソロスに並ぶ名投資家で有名だ。彼は日本についてこのまま衰退して犯罪率も上昇して破滅的だという一方で、朝鮮半島については南北が統一すれば世界で最も豊かな経済大国になると豪語している。なぜ名投資家が、そのような素っ頓狂な発想に至ったのだろう。

 

まず、南北統一は絶望的だ。文大統領は仲介者を自称していたがまったくの無能で、米朝会談は破断し、金委員長は大恥をかき、北朝鮮は韓国に愛想を尽かして文大統領を「出しゃばり」「恩着せがましい」と批判しミサイルも発射した。中国は北朝鮮を訪問したが、訪韓は取りやめている。日韓関係は戦後最悪の状態。米国も韓国を見放しつつあり、米韓首脳会談は2分で終了し、文大統領はトランプ氏に訪韓を懇願したが拒絶された。もはや韓国外交は誰の目にみても破滅的な状況である。結局、中国の属国として自主的な外交・国家運営をしたことがないので、政治的なノウハウがなく、韓国外交は支離滅裂である。

 

ロジャーズの南北統一後の見立ても楽観的過ぎる。南北統一すれば、教育水準が高い豊富な労働力がある朝鮮は、北朝鮮の資源を活かして経済大国になるという。しかし、南北統一にかかるコストは韓国の1年間の国家予算を上回る約550兆円とされている。かのドイツですら統一後は恐慌にみまわれた。南北統一したら北朝鮮から大量に韓国側に教育水準も低い栄養失調の北朝鮮難民が押し寄せるだろうが、その社会経済的混乱は想像だにできない。北朝鮮側にある強制収容所などの甚だしい人権侵害の事実も統一後にどのように処理する気だろうか。それに南北統一の混乱期に、資源豊富な北朝鮮を、ロシア・中国が占領しない保証などどこにもないのだ。南北統一より、金一族の身柄を保証する代わりに、北朝鮮を中国に併合する確率の方が個人的には高いと思うが(もともと朝鮮半島は中国の属地だったわけ)。

 

それに好調だった韓国経済はガタガタだ。サムスンなど財閥が次々と減益、失業率も上昇、社会格差は広がり、第一四半期のGDPはついにマイナス成長になった。出生率は世界最低でもう来年にも人口減少がはじまる。もはや韓国の徴用工問題で、日本側の経済制裁はほぼ確実な情勢だ。おまけにファーウェイ問題で米中の挟み撃ちにあっており、どちらについても報復がまっている。朝鮮半島は仲介者などではなく、ただの大国間の緩衝剤に過ぎないというのは現在の国際関係をみても明らかだ。東南アジアの成長で国際政治の重点は移動しており、韓国の重要性はますます転落していく。

 

不思議なのは、大富豪のロジャーズが、なぜこんなおかしな韓国楽観論を主張をするのかである。大富豪の彼が韓国側からの賄賂で韓国よりの発言を繰り返すとも思えない。1つは、欧米人であるロジャーズが単に東アジア史に疎い可能性がある。私がカナダ留学中に思ったが、欧米だと韓国はサムスンなどの影響で、先進的なイメージがあるようだ。メキシコ人が「日本や中国にはアイコニックな建物が多いけど、韓国には何があるの?」と聞いてきたので、「韓国にも王宮はあるけど規模は小さいし、独自の建築とかは何もない」といったら驚いていた。「朝鮮半島は中国の強い影響下にあって、歴史的には日本・モンゴル・中国のただの緩衝地帯だった」といったら驚いていた。欧米の認識なんてこんなもんだ。ただ情報収集家と言われるロジャーズがそんなことを知らないとも思えない。自分の投資先の株価を上げたいとか、そんなところだろう。それか話題性のある発言で注目を集めたいという名誉欲かもしれない。どちらにしろ彼の予測は大外れだ。

 

順調にいけば今年の8月にも徴用工問題で日本企業の資産が現金化され、日本側の制裁が発動される。ファーウェイ問題も先送りにしているが、どちらかにつくことで、どちらかからは報復を受ける。2019年は韓国経済転落のとして刻まれるのではないだろうか。通貨危機に陥らない保証はどこにもない。韓国がやばい国だと日本人を目覚めさせてくれたという点で、文大統領は大変有能な政治家だ。引退後は刑務所でゆっくり余生を過ごしていただきたいものだ。