天才児を主人公とした映画である。ジョディ・フォスターの初監督作品「リトルマン・テイト」のように、天才故に孤独にさいなまれる子供のストーリーかと思いきや、天才としての宿命や天才児教育の在り方も考えさせながらも、とても心温まる名作だった。主人公のメアリー演じる子役の名演に注目。また、近所の優しいおばさんのロバータを演じるスペンサーがいい味を出している。
メアリーが学校に通い始めるところから話はスタートする。しかし、すぐに彼女は、数学の非凡な才能を示し、周囲といざこざを起こしてしまう。この数学の才能は母親から引き継いだものだった。母親は天才数学者で世紀の難問に挑戦していたが、自殺してしまい、それを弟のフランクが引き取り育てていたのだ。フランクは学校から天才児のための学校を進められるも、普通に育てるのが姉の遺志だと、かたくなに断る。そんな中、フランクの母親が現れる。天才は人類の進歩のためにそれなりの教育を受けさせなければいけないとの信念のもと、メアリーの親権を求めて裁判を起こしてくるのだ。そして、映画のラストで、姉がなぜメアリーを普通に育ててほしいと切望していたのかが明らかになる・・・。コミカルな描写も入れつつ、天才が負う宿命、親との軋轢などのパーツをうまく組み立てている名作である。
それにしても最初はメアリーはホームスクーリングを希望していたり、学校が天才児向けの学校を薦めたりと、アメリカの教育の多様性が垣間見れる作品である。日本は画一的だが、欧米だと各人にあった教育を授けることが望ましいと考えられているので、多様な教育機関があり、飛び級等もできるのだ。最近、ABC予想を解決した望月京大教授が話題だが、彼も米国で育ち23歳で博士号を得ている。本作の数学アドバイザーのテレンスタオも21歳で博士号を得て、24歳でUCLA教授になった。おそらく日本で教育を受けてしまっていたら、才能を潰されていたかもしれない。その人にとって最良の教育を授けるべきなのだ。
ちなみに、本映画で出てくるミレニアム問題(7題)は、実際に存在する。クレイ研究所が2000年に発表し、100万ドルの懸賞金がかけられている。ポアンカレ予想だけペレルマンによって解かれたが、それ以外は未解決のままだ。ちなみに、フランクの姉が取り組んでいたのは「ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ」である。数学の難問は数学者の人生を狂わせることがある。フェルマーの最終定理に挑んで挫折し精神を病んだ数学者は数えきれない。ペレルマンも昔は笑顔が絶えなかったらしいが、ポアンカレ予想解決の功績を讃えてフィールズ賞を授与されるはずが辞退し、いまは引き籠っているらしい。
先ほど確認したら、yahoo!映画のレビュー評価「4.31」。人にも薦めやすい作品。
