法務省のアンケート調査で興味深いものがあった(URLは記事最後)。下世話な話で申し訳ないが、みんなが気になる、弁護士の所得についてのアンケート調査である。あえて所得という言葉を使ったが、この調査でも「収入」と「所得」は分けてある。「所得」は、簡単に言えば「収入」から必要経費を差し引いた額である。自営業者の場合、入ってきたお金から事務所の家賃や事務員等の給与などを差し引いた額が所得となる。

 

この調査、67期は回収率が48%だが、53期ともなると28.8%で回収率はだいぶ下がる。また、アンケートなので、見栄で多めに答えたりというバイアスはかかっていると思われる。それを踏まえて読む必要性がある。回収率の低い期が古い弁護士はおいておいて、若手の弁護士の所得状況をみてみよう。

 

67期の1年目の所得の平均値と中央値が資料にあるが、平均値は、分布が正規分布でないとあまりみても意味はない(一部の超高所得者につられて平均が押しあがるからである)。中央値の方が実態を反映している。すると、中央値が317万円(平均327万円)である。3年目の弁護士(新65期、回収率43.6%)の中央値が426万円(平均476万円)である。おまけにこれは弁護士登録している人への調査で、就職が決まらずに登録をしなかった人は含まれていないし、任意回答なので、多めに回答していたり、回答できないほどの低い所得ゆえに回答を控えた人を踏まえると、全体でみると実際はさらに中央値は下がるだろう。


大企業の場合は、所得にはあらわれない福利厚生等もあるので、それも踏まえる必要がある。おまけに日本の犯罪は低下の一途で、刑事弁護士の需要は低下し続けているという点も見落とせない。企業法務系の需要は高まると仮定しても、増える弁護士の供給をカバーしきれるとは到底思えない。これらを勘案するとかなり割に合わない進路選択となっていると言えるだろう。

 

こうした金勘定を越えたところに弁護士の仕事の魅力はあるという人もいるし、私もそう思うが、そうであれば、なおさら法科大学院という経済的参入障壁は撤廃すべきであろう。制度設計として、高い学費のかかる法科大学院への通学をほぼ強制しておいて、この所得であれば、進学をためらうというのが合理的な人の判断であろう。旧司法試験時代の方が、大平光代弁護士のような気概のある先生が多かったのではないかと思う。財政がひっ迫している中で、法科大学院に無駄な税金を投入していないで、さっさと廃止すべきだ。いままでの法科大学院への投資が無駄になる!というのはサンクスコスト効果で、さらに損失を拡大させるだけで、百害あって一利なしである。

 

出典:http://www.moj.go.jp/content/001198284.pdf