平成27年司法試験 法科大学院別合格者数等(法務省)
http://www.moj.go.jp/content/001158039.pdf


facebookで学部のゼミの同期が合格したと報告していたので、気が付いたが、本日司法試験の合格発表があった。私も法科大学院に進学していたら、社会人などしていないで、合格発表をドキドキしながら待っていたロー生だったわけである。今回の結果で特徴的なのは、予備試験組の躍進である。


(左から、法科大学院名、受験者数、合格者数、対受験者合格率)
01 予備試験 受験301、合格186、合格率61.8%
02 一橋大学 受験142、合格*79、合格率55.6%
03 京都大学 受験240、合格128、合格率53.3%
04 東京大学 受験305、合格149、合格率48.9%
05 神戸大学 受験149、合格*72、合格率48.3%
06 慶應義塾 受験347、合格158、合格率45.5%
07 愛知大学 受験*22、合格**8、合格率36.4%
08 中央大学 受験475、合格170、合格率35.8%
09 早稲田大 受験471、合格145、合格率30.8%
10 大阪大学 受験165、合格*48、合格率29.1%
*出典:
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52131578.html


ついに、予備試験組が合格者数でも合格率でもトップにたった。全体平均の合格率は23.1%であるが、法科大学院でこれを上回るのはわずか14校だけである。10位の大阪大学ですら、合格率29.1%と、同級生が100人いたら71人は不合格になっている有様である。ほとんどの法科大学院はもはや当初期待された機能を果たしていない。そればかりか、法科大学院に進学したものの、結局試験に合格できないという社会復帰困難者を増加させているだけである。


企業での雇用が増えると当初は期待されたが、さほど増えていない。それもそのはずで(私は一応は東証一部上場企業の法務部に勤めているのだが)、企業法務で扱う問題は、弁護士のような立派な資格がなくとも、そこそこの大学の法学部卒であれば処理できるような問題なのである。訴訟になる場合は弁護士に頼るし、専門性の高い事案に関しては弁護士確認が必要な場合もあるが、それらは極めて例外的で、ほとんど弁護士のお世話になることはない。企業からすると年齢が高い、法務部にしか配置できない弁護士を雇うメリットは低い。必要になった時だけ相談にのってくれる顧問弁護士事務所をいくつか持つ方が、弁護士を一人雇うよりもコストが安い。


欧米諸国に比較して日本は法律家が少ないということも当初は叫ばれたが、弁護士数だけを単純に比較することはできない。欧米諸国は州ごとに法律が異なることが多いので、それだけ多く野法律専門家が必要である一方、日本は法律が全国画一なので必要とされる法律家が欧米諸国に比較して少ないのは当然であろう。それに、日本が法律家の人数が少ないというのは弁護士数だけの比較である。司法書士、弁理士、行政書士、社会保険労務士等、日本は法律職が細分化されているので、それらを合算すれば法律家数は実は少なくはない。


2020年には日本の弁護士数は5万人規模になる。しかし、交通事故も減り、犯罪も減り、弁護士の活躍の場が縮小する中、増加する弁護士を吸収するほどの市場が、我が国にあるかといえば、首肯しがたい。法科大学院制度の余命はあとどのくらいだろう。10年も持たないだろう。