社会人になって、なかなか時間がとれないのだが、時間をみつけて「バードマン」を観てきた。かつて「バードマン」というアメコミヒーローの映画で主役だった男が、再起をかけてブロードウェイで演劇に挑戦するという話。アカデミー賞では4冠という快挙。シリアスかと思ったが、ブラックコメディでとても面白かった。映画のシーンがワンカットで撮影されたかのようなカメラワークは非常に見事。映画では幻想と現実が重なっていて非常に不思議な感覚に陥るが、これは主人公の精神的な不安定さを表しているのだろう。彼は凋落していく自身を直視できないが、深層心理ではそのことを自覚している。彼がかつて演じたバードマンが幻想として出現し、彼自身に鋭い指摘を浴びせるのだ。

彼はtwitterなどのSNSを一切やらない。娘に「ネットではパパは存在していない」とまで言われてしまう。彼の存在意義とは...?。その問の答えは、彼が再起をかけた演劇のクライマックスに答えが出ている。「無知がもたらす予期せぬ奇跡」である。そのクライマックスはぜひ映画で観ていただきたい。

この映画、評価は真っ二つらしいが、個人的には嫌いではない。大衆受け的な作品が多い中、こうした作品が作品賞を受賞するとは、アカデミー賞も捨てたものではないなと思った。どうでもいいが、出演陣などが非常に豪華である。監督は「バベル」のアレハンドロ・ゴンサレス、主人公を演じるのは「バットマン」で主役を演じていたマイケル・キートン、「ファイトクラブ」などで主役を演じたエドワード・ノートン、「アメージング・スパイダーマン」でヒロインを演じたエマ・ストーン。俳優・女優陣の演技力も見物である。