県立全高校タブレット導入 佐賀の教育現場が大混乱
ICT(情報通信技術)教育を推進する佐賀県。来春の県立高校全新入生約6800人に、タブレット型端末を購入させると決めた。古川康知事がトップダウンで押し切ったこの事業を巡り、波紋が広がっている。(中略)「問題は、5万円も負担させて何をやるのかということ。タブレット型端末は2万円台でも買えます。安い端末ではできない授業の中身について、佐賀県はきちんと説明すべきです」。
*http://dot.asahi.com/wa/2013110600046.html
日本のICT教育がいろいろ混乱しているように思われます。佐賀県が県立高校生に5万円もの高価なタブレットを強制的に購入させるという事実に驚愕。県立高校で(特に佐賀みたいな県民所得の低い県(県民所得ランキング35位)、貧しい家庭も少なくないと思うのですが)、5万円という高価なタブレットを強制的に購入させることの是非は議会で議論されなかったのでしょうか。しかも、トラブルが多く、ろくに使用できていないとか。アローズというタブレットらしいですが、iPad miniは3万円もしない値段なのを考えると、とても高価に思われます。なぜその機種を選んだのでしょうか。業者の癒着じゃないかと勘繰ってしまいます。無線ランとかを自宅に設置するとかすると、追加でお金もかかります。
大学院でも、IT教育の重要性が指摘されていますが、せいぜい発表資料をデータで配布して、みんなPCかタブレットをみながら発表を聞く程度。院生はPCを使う頻度は一般の人よりも高いですが、論文探したり、レポート書いたり、パワポで発表準備ぐらい。ワード・パワポさえ使えればほとんど問題なし。あとは、実証の人は統計ソフトいじったりとかですが、これは一部の人。あとはオンデマンドの授業を受けるとか。プライベートではyoutubeとかの動画サイトとブログぐらいでしょうか。大学院でもこの程度なので、高校でタブレット使うっていっても、だいぶ場面が限られるし、教育効果も測定が難しい - 佐賀県の場合、実施方法が高校によってバラバラなので比較も出来ない。佐賀県のタブレット導入には、本当に行き当たりばったりという印象を受けます。大学でも使えるって説明を、県はしているそうですが、佐賀県の大学進学率は全国平均以下で41%程度ですし、大学でタブレットを使う場面ってあまりないと思われる。無利子の奨学金を拡大するなどの説明をしているようですが、使いもしないものに5万円を支払わせるという肝心の問いに対する答えになっていない。しかもアローズ。私ならiPadが欲しい。
ICTの先進国というと、米国や北欧諸国が思い浮かびますが、これは国土面積の割に人口が少ないので、いちいち回線を広大に敷設するよりも、電波で飛ばした方がコストがかからない。他にも、役所の手続きを考えても、米国みたいに国土が広く、さらに都市の郊外に住むのが一般的な国だと、役所までいくのが一苦労。だったらネットで申請した方が楽ということで、その浸透が早かったのだと思われますが、日本だと山がちで電波状況も悪いし、人口も密集しているのであまり電子化の必要性を感じなかったのでは。米国では必要性があったから普及したわけで、いくら官が広めようとしても、市民が必要性を感じなければ普及しないと思う。ICT教育は重要だが、タブレットを強制購入させる必要性があったのかは疑問が残る。タブレットではないが、青山学院大社会情報学部はiPhoneを新入生に配布したものの、稼働率は3割程度らしい。大学の専門的な学部でもこの程度なので、地方の県立高校での活用は絶望的だと思う。
=PS=
調べたら、タブレットは8万4000円で、補助金で生徒負担を5万円にしたみたいです。とんでもなく高いですね。安いものだと2万円代からあるのに。行政が新たな利権を発見したようですね。
