子ども数が過去最少だそうだ。15歳未満の人口は1633万人(総人口に占める割合は12.8%)。1981年2760万人がピークであるが、そこから1000万人近く減少したことになる。ただ2005年の合計特殊出生率1.26人から上昇傾向で、2012年が1.41である。しかし、残念ならが合計特殊出生率は再び減少に転じる。昨今の出生率の回復は単に第二次ベビーブーム世代が年齢的に出産の上限に達して駆け込み出産をした結果として出生率が押し上がっただけで、彼らの駈込み出産が終わり次第、再び出生率は減少に転じるのが確実だ。なぜ出生率が下がっているのだろうか。これは人口学的に解明されており、日本の場合は、非婚化が進んだからだ。結婚しているカップルに限った出生率でみると実は人口置換水準(2.07)をやや下回る程度である。非婚者の出生率はほぼ0人なので、彼らが合計特殊出生率を押し下げている。では、なぜ非婚者が増えたのだろう。諸説ある。
(1)ジェンダー論者は、女性たちが家庭の束縛を嫌って結婚を控えた結果だという。しかし、結婚願望の調査では依然9割の人が結婚を希望していて説得力に乏しい。しかし、低所得男性の婚姻率が低いことはジェンダーで説明が可能である。つまり、男性が家族の稼ぎ頭であるという社会的認識が、低所得男性の恋愛行動を控えさせているのである。
(2)パラサイトシングルという用語をつくった山田昌弘(中央大教授)は、親元でシングルで暮らした方が良い暮らしができるから、シングルにとどまるという(山田氏の説は経済学でいう「相対的所得仮説」である)。これは成人しても親元にとどまる国限定の話で、逆に米国のような絶対的核家族(成人すると親元から離れて独立して生計を立てる;エマニュエルトッドの分類)国だと、低所得層でもさっさと結婚する。どうしてかといえば、一人暮らしで年収200万円は貧しいが、年収200万円同士で同居すれば、世帯所得は400万円で一人暮らしするよりかはマシな生活ができるからである。
(3)また、恋愛市場の機能不全を唱える人もいる。お見合い結婚が減少した一方で、日本は恋愛の場が限られており、お見合いを代替すべき恋愛市場の機能不全が非婚者を増大させていると考える。
(4)八代尚弘(ICU教授)など経済学者は、女性の高学歴化によって女性の所得水準が向上し、子供を産む際の機会費用が高額になったことが出産を抑制している原因だという。実際、高所得職種に就く女性の婚姻率は低い。
(5)非正規雇用の増加や、過労などによって、恋愛する経済的・時間的な余裕がないという労働環境の不整備が原因だという人もいる。
(6)単に一人暮らしでも生活しやすくなったからという人もいる。たしかに娯楽にあふれてるし、外食産業も増えたので一人暮らしでも不便はない。
(7)離婚が増えたことで、男性からすると結婚のデメリットが強くなったことも理由として挙げられる。子供がいた場合、養育費としてお金が持ってかれてしまう。そこでなるべく良い人と結婚しようとして、恋愛を先送りにしてしまうのだ。
もはや日本の少子化は危機的なところまで来ている。第二次ベビーブームの駈込み出産があって出生率1.41程度。駆け込み出産も、そろそろ沈静化なので、出生率はあと数年で減少する。30~34歳の未婚率も高く、男性だとおよそ半数にのぼる。さらに心理的な問題で、周囲が結婚しないと、それだけ社会的外圧が高まるので、未婚を加速させる可能性もある。まぁ、今の人口が多い過ぎるから、少子化は悪くないという人もいるのでなんともいえませんが。それより2060年に1京円を突破する我が国の借金の方が心配です。