STAP細胞の論文に問題がいくつも見つかり、また小保方さんの博士論文にも剽窃などが見つかった騒動で、様々な意見が入り乱れているが、中日新聞に面白い記事があった。実はピンク色の研究室や、カメの水槽、割烹着などは理研の演出だったと報じている(http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140315070914336 )。理研は一部否定しているが、「リケジョ」をアピールして、理研の地位向上(またそれに伴う予算増)を期待していたのかもしれない。また、同報道によると、文部科学省幹部の話として、なぜiPS細胞よりもSTAP細胞が優位だと強く主張したのかというと、副センター長の笹井先生はもともと山中教授よりも立場的に上にいたのに山中氏のノーベル賞受賞によって立場が逆転、しかし、STAP細胞で再逆転できると思い嬉しかったのではないかと指摘している。笹井先生は京都大卒・京都大博士で元UCLA研究員なども歴任したのに対して、山中教授は神戸大卒・大阪市立大博士、留学経験もあるが留学先はカリフォルニア大サンフランシスコ校。学閥が強いという医学・学術界では、笹井氏がジェラシーを感じていたとしても特に不思議はない。iPS細胞に関しては、東大の研究者から、癌化するから実用性はないとノーベル賞受賞後もバッシングがあったそうだ。今回の論文騒動も、医学部出身者ではない小保方さんに嫉妬し、そこから粗探しから始まったとも聞く(粗探し部隊もここまで穴だらけの論文とは予期していなかっただろうが)。
こうした小保方さんの剽窃に関して大学院教育の在り方が問われている。早大の教育体制の問題、論文作成時における倫理観の低下などを指摘する人がいるが、そうだと言い切れるだろうか。東大でも2名、広島大・九州大などでも博士号取消はおり、修士号においては筑波大・慶應大でも取消された者がいる。早大特有の問題ではなくアカデミズム全体の問題だろう。また、ネット社会になったからこそ剽窃が容易に見つかるようになっただけで、昔は剽窃がなかったとは言い切れない。ドイツでは大臣が30年前に取得した博士号を取り消されている。院生の質が高かっただろう時代に大学院を修了したはずの加藤茂明(東京大元教授)は、43本の論文での捏造などを行い東大を辞職している。
ところで、論文撤回に関して、共同執筆者のバカンティ氏は撤回を拒否しているらしいが、これは日米の論文に対する意識の違いだろうか。日本は一生懸命作成し、また形式面まで厳格さが求められる。しかし、米国ではアイディアが重要なのだという。もちろん捏造・剽窃は論外だが、米国は研究者間でも競争が厳しく、論文に問題があるからといっていちいち論文を撤回しすべてイチからやりなおしていたら勝ち残れない。米国在住のバカンティ氏が、発見自体には問題ないのだから、問題の部分を修正すればいいと考えるのは自然だ。ちなみに、このバカンティ教授はどんな人かと思ったら、「耳ネズミ」をつくった人物だった。英語では彼の名前をとって”Vacanti mouse”というらしい。以前ニュースでみて、ネズミの背中に人の耳が生えていて非常に驚いた記憶がある。
結局のところ、STAP細胞は存在するのだろうか。たとえ、論文に重大な欠陥があり撤回されても、STAP細胞がないということにはならないし、また、小保方さんは博士論文の問題も指摘されているが、博士論文にいくら欠陥があろうとSTAP細胞の"存否"には影響はない。今後の研究成果を待つのみである。
