2013年10-12月の中国の成長率が7.7%だったそうだ(日経
)。成長率が8%割れというニュースが多いが、6%の成長率でいっても2020年には米国の経済規模を追いにく予測が出ている。Googleのサイトで、GDP推移のグラフが無料でつくれる。データは世界銀行のものだ。
こうみると、90年前後にジャパンアズナンバーワンが主張された理由がわかる。経済成長が続いていれば、日本は世界1位の経済大国になっていたのだ。そして、かなり最近になって中国が経済成長し、日本を追い抜いたこともグラフからよく分かる。数年前はBRICsと呼ばれたが、ロシアは成長率が急減速。人口減少もあってあと50年のうちに再び超大国になる可能性はかなり低いだろう。少子化のせいで軍隊も脆弱化傾向だという。広大な領土を防衛するコストが高すぎて経済成長の足かせになりかねない。一方で、人口ボーナスがまだ効果を保っているインド・中国・ブラジルは今後の成長が期待される。
これから10年のうちに中国が米国を抜く可能性が高いが、すると、戦後の米国一極集中の世界秩序が転換される。人口規模・経済規模でもアジアが世界の中心に返り咲く。韓国・中国を除くアジア諸国の対日感情はとてもいいので、日本はアジアでリーダーシップをとれる可能性は低くない。靖国問題だとインドは日本を援護しており、1月26日の共和国記念日にも国賓として安倍首相を招待した。ベトナムは中国と領土問題を抱え、さらに米国・韓国軍に人民を蹂躙された歴史があるので、相対的に日本への感情はとても良い。インドネシアも対日感情がとてもよい。タイ・シンガポール・マレーシアは中華系が多く中国寄りだが、インドネシア・フィリピン・ベトナムは「今後の重要な国」として米国・中国より日本を挙げている(平成20年外務省「ASEAN主要6か国における対日世論調査」)。日本寄りの3か国の人口規模は4億近い。日本自国の人口に加えて、親日派のインドも加えれば世界人口の約25%にあたる。中国・韓国にばかり目が行くが、日本が本当に外交的・経済的に強化しなければならないのは、長期的に考えればこの2国ではないだろう。
韓国の女性大統領が最近ヒステリックにわめき散らしているが、その原動力は、韓国は経済成長率の失速、日本よりも酷い少子高齢化の不安だけではない。アジア諸国の成長によって、韓国の地位は低迷する。現在の成長率であれば、2020年頃には韓国はインドネシアにもGDPで追い抜かれ、アジアの経済大国4位から5位に転落する。外交的に存在感を示したいという焦りの表れだろう。アジアの重点が東南アジアに移る中で、米国が経済的に韓国に付き合うメリットはあまりなく、中国包囲網を構成する1国、北朝鮮問題を抱える国との認識しかない。つまり安全保障の関心しかないことだろう。
安倍首相のアジア外交重視は正しい。海外の新聞記者が、日本は過去の軍事的な野心を再び取り戻そうとしていると書いていることが多いが、米国の安全保障力が低下し、中国が軍事拡張する中で、パワーバランスを保つために日本が軍事力を拡張するのは至極当然である。