レストランチェーンのジョナサンなどでフォアグラを使った料理が安く食べられる(1100~1500円の価格帯:ジョナサンHP )。フォアグラというとかなりの高級食材のイメージだったが、こんな値段で食べれるのかと少し不思議に思った。ジョナサンはスカイラークグループなので、グループとしてキャンペーン期間だけ大量購入して単価を下げたのかなと思っていたのだが、いまでもメニューとしておかれており、結構期間は長い。しかも、フォアグラに似せた食材かと思ったが、フランスの産地保障(IGP)もされている。なぜなのかと思っていたのだが、ケネディ駐日大使の「イルカ漁反対」でふと気が付いた。


フォアグラは必要以上にエサを与えて太らせた鴨やガチョウの脂肪肝のことである。歴史は古く、ローマ帝国時代から伝わる非常に歴史のある食材である。しかし、強制的にエサを与えるのは動物虐待という意見が多く、欧州を中心にフォアグラの製造禁止が広がっている。イタリア、イギリス、ドイツ、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、チェコ、オランダ、スイス、ポーランド、スウェーデン、ルクセンブルクなどの国ではフォアグラは違法とされている。米国カリフォルニア州、アルゼンチン、イスラエル、トルコでも強制食餌は禁止されている。エア・カナダ、アメリカン航空などの航空会社では機内食でフォアグラの提供を停止、英国王室もフォアグラを排除、たくさんのスーパーマーケットでも販売停止が起きている。


現在ではフォアグラの8割はフランス製である。残りの製造国は、ハンガリーやブルガリアである。フランスは国際的なバッシングにも関わらず、国会でフォアグラはフランスの伝統的な食文化とする法案を全会一致で可決している。


製造禁止されただけで、欧州人がフォアグラを食べなくなったわけではない。しかし、以上のような世界的なフォアグラバッシングの結果、フォアグラの需要が低下し価格が下がり、結果フォアグラを禁止していない国への輸出が増えているとすると、最近のレストランチェーンの安いフォアグラも納得がいく。本当にそうなのかは分かりませんけどね。


食文化ってのは、国によってバラバラ。欧米人には、可愛いからイルカや鯨を殺してはダメという人がいるが、オーストラリアでカンガルーが毎年数百万頭も殺され食用肉になっているのはいいのだろうか?カナダのエスキモーがアザラシを殺して食べるのはいいのだろうか?(ちなみに、EUがカナダのアザラシ漁を批判したところ、カナダが反発して国会の食堂にアザラシの肉を使った料理が登場したそう)。


イルカや鯨は知能が高いので殺してはダメという人もいるが(牛・豚・鳥は知能が低いから殺しいいという論調)、では、人間でも知的障害者は殺していいのだろうか?こうした知能に基づく区別は、西洋人が南米やオーストラリアの原住民を知性のない野蛮なサルだといって虐殺したのと同じような思考で極めて危険な発想と言わざるを得ない。しかも、人間の知能とイルカや鯨の知能の比較がそもそも無理な話で、イルカ・クジラ賢い論は眉唾だと指摘されている。


鯨は絶滅しそうだから捕鯨禁止という意見もおかしい。鯨と言っても90種近いが、日本などが捕鯨しているのは増加傾向にある種のみであり、海洋資源の保全に資している。鯨やイルカの捕獲の仕方、殺し方が残虐なんていう人もいるが、殺生はどのような場合であっても残虐性を伴う。「いのちの食べ方」というドキュメンタリーをみれば、我々が普段口にする牛・豚・鳥などの肉がどのように製造されているかよく分かる。極めて管理された機械的な方法で繁殖させられ、育てられ、殺される。これこそ非人道的ではないか。アメリカ人は3000万頭も毎年牛を消費するが、牛が殺される前にどのような断末魔を上げるのか聞けば、捕鯨などの捕獲方法がとりわけ残虐だとはいえないだろう。イルカ漁に反対するケネディ駐日大使は、牛を大量虐殺している米国マクドナルド等も批判すべきである。


動物性のたんぱく質を一切摂取しないベジタリアンが、動物を食べるのは野蛮というのは理解できるが、牛は食べるけどイルカや鯨はダメというケネディ駐日大使のような人はエスノセントリズム(自文化中心主義)でしかなかい。フランスはフォアグラを製造していいし、日本はイルカ漁をしていいし、エスキモーは伝統的なアザラシ漁をしてもかまわないのである。

いのちの食べかた [DVD]/紀伊國屋書店