少し前の記事だが、伊藤塾「弁護士は本当に稼げない職業になったのか?」は、ホームページで弁護士の収入を2167万円としている。大企業の平均年収は492万円であるから、弁護士は大企業の3倍の収入があると書いている。これは本当だろうか?

 

http://www.itojuku.co.jp/shiken/hoka/feature/DOC_012075.html


記事には大きな事実誤認がいくつも見られる。弁護士の収入は事務所経費などを引く前の額であり、実際の収入ではない。なお、大企業の平均年収には非正規社員も含まれているから、正社員に限ればもっと多い。それに、大企業は、各種手当・退職金・企業年金・福利厚生(”フリンジベネフィット”という)などがある。弁護士は法科大学院進学に学費を支払い、さらに数年分の機会費用も生じている。それらを加味した場合、生涯賃金で比較すると、弁護士はかなり大企業正社員よりも劣るだろう。そもそもこの調査はアンケート形式であり、多めに申告したり、低所得の弁護士は回答をしないなどしていることが考えられ、正確性に欠ける(実際、回答率は1割程度)。予備校も生き残りが厳しいので生徒集めのために、弁護士は儲かると宣伝しないといけないのだろうが、大企業の3倍の収入だというのはあまりにも正確性に欠け、誤解を与える誇大記事である。去年だと、就職難の影響で司法修習修了者の26が弁護士登録すらできない状態であった。司法試験受験生はよく現実をみて司法試験を目指されることをおすすめする。