テレビをみていたら、弁護士特集をテレビ東京でやっていた。司法試験に合格しても就職先がないという現状から、弁護士のあり方自体が問われているようだ。登場した司法修習生は借金が500万円あるが就職先が見つからないという。アディーレ法律事務所の石丸弁護士は「弁護士バッジは昔だとプラチナチケットだったが、今では入場券。司法試験に合格したから一生飯が食えるという前提がそもそもおかしかった」と指摘している。法律問題に回答するサイトで顧客獲得を狙う弁護士など弁護士自らが情報発信していくことが求められているそうだ。銀行に勤める弁護士も紹介されていた。
弁護士激増で生き残りが厳しくなり市場開拓として、弁護士会は政治家の秘書に弁護士を登用するように働きかけるなどしている。実際、企業内弁護士の数も増えているそうだ。しかし、司法試験を通過するまでには多額の費用がかかる。新卒採用を捨てて、数百万円をかけてまで弁護士になるリターンは十分なのだろうか。そもそも司法試験に合格しない人たちもかなりの人数いるわけで、彼らのセーフティネットはどうなっているのだろうか。多様な人材を確保したいのであれば法科大学院を修了しないと司法試験を受験できない制度をどうにかすべきだ。現在の弁護士数は3万人であるが、2000人合格だと10年で弁護士数は現在の1.7倍にまで急増する。市場の需要が10年で1.7倍になることはないから、どう考えても飽和する(すでに飽和状態だといわれるが…)。
しかも、日本には隣接法曹(司法書士・行政書士・社会保険労務士・土地家屋調査士)がいる。税法関連の問題は税理士・公認会計士が担当するし、知財関係は弁理士が専門家だ。実はこれらの人数を合計すると日本にいる隣接法曹は24万人にものぼる。アメリカには司法書士・行政書士などの資格がなく弁護士が業務を行うので、日本より弁護士の人数が多いのは当然だ(アメリカにも税理士・公認会計士の資格はある)。隣接法曹の人数を考えると、法律家の数は日本で足りていたのである。弁護士を増やすにしても2000人合格は多過ぎた。2000人合格をまだ見直す気配はないので、今後も弁護士はハイスピードで増え続ける。隣接法曹との仕事の取り合いも激化するだろう。法律業界の先行きは暗い。
