ジルコニア -2ページ目

 ジルコニア

イラストやら漫画やら小説をまったりと載せていくつもりです。

ごゆるりとお過ごし下さいませ

「18年目の正直」

麦わら帽子が風に飛ばされた
君は笑いながらそれを取りに行く

僕は君の後ろについているよ
いつまでも、きっと一生

綺羅めく星星が入った曹達(ソーダ)
赤と黒の斑模様の西瓜(スイカ)

蒼い 青い 海と空
君の美しい足が
まるで記憶を残すように
白い砂浜に
ぽつぽつと


初めての君の言葉を思い出す
「好きだったの」と

僕は君の後ろを離れない
出来る限り、いつまでも

風の音と共演する風鈴(フウリン)
最後の命を灯す線香花火(センコウハナビ)

碧い アオイ 海と空
君は笑ってこちらを見る
砂浜に残した足跡は
もうすでに消えている

愛し君と共に歩む
僕の18年目の夏――

「炎舞する一人の少女と落ちるリンゴ」


重力に逆らってリンゴを投げてみる

赤いボールみたいに、どんどん、どんどん、飛んでいけ

消えて、亡くなれ


アタシはアタシ

あなたはあなた

変わらない事実、変わることのない真実


暑い夏が今年もやって来る

日差しが私を焦がす、焼き尽くす、灰にする

何一つ変わっちゃいないっていうのに


リンゴはどこに消えた?

大気圏に突入した?

それとも月まで行ったかしら?


あなたは何て傲慢な人

この世の全てを望んでる

あたしは尋ねたい「これ以上何が必要なの?」


暑い、熱い、あついすぎるのよ

万華鏡のようにふらふらと

あぁ目の前にホタルが飛んでいるわ


上を見上げると何も無い

きっとリンゴは消えてしまったのね

これで良かったの、良かったわ


あなたはこの世を馬鹿にした笑い

そしてこう言ったの


アタシハ踊る

体が蝶となり、焼けていくわ


何て赤い、アカ

そして落ちてきたリンゴ

彼の言葉「キミの絶望が必要なんだよ」


「雨よ、まだ触れど」


しと しと ぴちゃり

しと しと ぴちゃり


ビニール傘をくるくる回してみる。

水たまりを歩かないように避けてみる。

大きく手を振って歩いてみる。


「ごめんね」

そう言った彼はちょっと笑っていた。

優しさからかな?

それとも理解できないから?

何て残酷な死刑宣告。


しと しと ぴちゃり

しと しと ぴちゃり


きっと明日は晴れるのかしら。

紫陽花がアタシのスカートを引っ張ってる。

まだまだ雨は止まないそうね。


鏡の前で髪の毛をいじってみる。

甘い香りの香水をつけてみる。

大きく前を向いてみる。


ぽと ぽと ぽ

ぽ  ぽ  ぽ


――今日は傘がいらない