平成27年12月18日の日銀政策決定会合で、日銀の黒田総裁が量的緩和の補完措置を発表しました。
主な政策内容としては、購入国債の年限を引き上げる、ETFの3,000億円購入新枠設置するという、マネタリーベースは従来の80兆円に据え置き、緩和施策を継続するための必要措置を講じたといのが今回の狙いだそうですが…
マーケットではいよいよ日銀の政策に手詰まり感が出てきたかという受け止め方をしているようです。
日銀の政策の手詰まり感!?
日銀は日銀法により我が国で唯一、紙幣の発券を許された中央銀行なのです…
だから、紙幣さえ刷れば、いくらでもマネーの量を増やしていくことが出来るのではないかと思ったりしませんか?
ぶっちゃけると、私もこのニュースを見たときは直感的にそう思いました。
過去の日銀の量的緩和政策をみて、検証していくことで、日銀が手詰まりになっていることを解き明かしたいと思います。
アジア開発銀行総裁であった黒田東彦が、日銀総裁に就任する同時期の、平成25年4月4日に消費者物価指数2%を目指し、マネタリーベース60兆円~70兆円にするため、国債購入枠を年間で50兆円、ETF購入枠を年間で1兆円、REITの購入枠を年間で300億円で2年間推移させるという大胆な緩和施策を発表しました。
当時は異次元緩和等と呼ばれ、黒田日銀バズーカ等ともてはやされたものです。
それから月日が経ち、黒田日銀総裁の出身母体である財務省が消費増税判断を政権に仰いでいたころの平成26年10月31日に、サプライズとともに黒田バズーカ第2号は号砲を鳴らしました。
異次元緩和(10/31)の内容としては
・マネタリーベース:80兆円/年(前回比 +10兆円~20兆円)
・国債購入枠:80兆円/年(前回比 +30兆円)
・ETF購入枠:3兆円/年(前回比 +2兆円/3倍)
・REIT購入枠:900億円/年(前回比 +800億円/3倍)
となります。(現在の金融政策も上記を引き継いでいます)
2回の異次元緩和を通じて分かることは、単純に紙幣を刷るだけではマネタリーベースは増加しないんですね…
マネタリーベース = 日本銀行券発行高 + 貨幣流通高 + 日銀当座預金
貨幣流通高や日銀当座預金を増やせないと、マネタリーベースでの増加がないということですので、日銀は量的緩和パッケージの中で、国債、ETF、REITを買い入れ貨幣を流通させているんですね…
資産を買い入れて…
貨幣を流通させているということになると、買い入れる資産がなくなると、紙幣を刷ったとしても貨幣は流通していかないことになります。
新発・借換国債(新規に発行される国債)の年度発行額は約170兆円です…
そのうち、日銀は年間ベースで80兆円消化するわけですから…
新規で発行される国債の約半分(47.05%)を消化していることになります。
いかに紙幣発行権を有する中央銀行という立場であれ、半分程度の国債を市場から吸い上げる状況というのは異常です…
異次元緩和と言っている以上は…異常でも問題ないのかもしれませんが…
黒田総裁はじめ日銀理事がどこら辺で上限を設けているのかは分かりませんが、日銀が半分程度まで購入している状況は、購入枠の上限近いところにいると考えてもよいのではないでしょうか?
現実的に全ての新規国債を日銀が購入するということは考えられないことから、70%程度のラインを上限としてみているとすると、国債購入枠は40兆円増やす余地があるということになります。この場合、マネタリーベースでの変動幅は26兆円程度ということになります。
同様にETFの市場規模は12.7兆円程度に対し、日銀が保有しているETFはおよそ8.5兆円…実に7割程度の資産を持っていることになりますので、ここら辺が限界なのではないでしょうか?
REIT市場規模は約10兆円で日銀保有が3,200億円程度の3.2%…
REITはリスクが高い商品ですから、本来、中央銀行が持ち、自分のバランスシートを膨らます商品として適切な資産ではありません。
よって、日銀としても、これ以上増やすということは考えていないと思いたいところですが…
もし、REITを増やすことになると、今以上に大きなギャンブルになると思います。
日銀の手詰まり感は…購入する資産がない中、追加で量的緩和をするかもしれないというスタンスを市場にみせ続けないといけないというところにあると思います。
中国経済減速、中東・北朝鮮情勢の不安化、原油価格低下、米国利上げ等、経済・金融政策・地政学各面から日銀に対する追加緩和期待は膨らむ一方なのですが、当局として実施できる政策が狭めれれている中、日本銀行は非常に難しい舵取りを余儀なくされているというのが実情のようですね…
原油価格低下によって…日銀の掲げる…消費者物価2%達成も難しいでしょうから…
2%目標を妥当な水準へと引き下げるか…ギャンブル覚悟で…新たな追加緩和を実施するか…どちらも…行くも引くも……という感じですね。
主な政策内容としては、購入国債の年限を引き上げる、ETFの3,000億円購入新枠設置するという、マネタリーベースは従来の80兆円に据え置き、緩和施策を継続するための必要措置を講じたといのが今回の狙いだそうですが…
マーケットではいよいよ日銀の政策に手詰まり感が出てきたかという受け止め方をしているようです。
日銀の政策の手詰まり感!?
日銀は日銀法により我が国で唯一、紙幣の発券を許された中央銀行なのです…
だから、紙幣さえ刷れば、いくらでもマネーの量を増やしていくことが出来るのではないかと思ったりしませんか?
ぶっちゃけると、私もこのニュースを見たときは直感的にそう思いました。
過去の日銀の量的緩和政策をみて、検証していくことで、日銀が手詰まりになっていることを解き明かしたいと思います。
アジア開発銀行総裁であった黒田東彦が、日銀総裁に就任する同時期の、平成25年4月4日に消費者物価指数2%を目指し、マネタリーベース60兆円~70兆円にするため、国債購入枠を年間で50兆円、ETF購入枠を年間で1兆円、REITの購入枠を年間で300億円で2年間推移させるという大胆な緩和施策を発表しました。
当時は異次元緩和等と呼ばれ、黒田日銀バズーカ等ともてはやされたものです。
それから月日が経ち、黒田日銀総裁の出身母体である財務省が消費増税判断を政権に仰いでいたころの平成26年10月31日に、サプライズとともに黒田バズーカ第2号は号砲を鳴らしました。
異次元緩和(10/31)の内容としては
・マネタリーベース:80兆円/年(前回比 +10兆円~20兆円)
・国債購入枠:80兆円/年(前回比 +30兆円)
・ETF購入枠:3兆円/年(前回比 +2兆円/3倍)
・REIT購入枠:900億円/年(前回比 +800億円/3倍)
となります。(現在の金融政策も上記を引き継いでいます)
2回の異次元緩和を通じて分かることは、単純に紙幣を刷るだけではマネタリーベースは増加しないんですね…
マネタリーベース = 日本銀行券発行高 + 貨幣流通高 + 日銀当座預金
貨幣流通高や日銀当座預金を増やせないと、マネタリーベースでの増加がないということですので、日銀は量的緩和パッケージの中で、国債、ETF、REITを買い入れ貨幣を流通させているんですね…
資産を買い入れて…
貨幣を流通させているということになると、買い入れる資産がなくなると、紙幣を刷ったとしても貨幣は流通していかないことになります。
新発・借換国債(新規に発行される国債)の年度発行額は約170兆円です…
そのうち、日銀は年間ベースで80兆円消化するわけですから…
新規で発行される国債の約半分(47.05%)を消化していることになります。
いかに紙幣発行権を有する中央銀行という立場であれ、半分程度の国債を市場から吸い上げる状況というのは異常です…
異次元緩和と言っている以上は…異常でも問題ないのかもしれませんが…
黒田総裁はじめ日銀理事がどこら辺で上限を設けているのかは分かりませんが、日銀が半分程度まで購入している状況は、購入枠の上限近いところにいると考えてもよいのではないでしょうか?
現実的に全ての新規国債を日銀が購入するということは考えられないことから、70%程度のラインを上限としてみているとすると、国債購入枠は40兆円増やす余地があるということになります。この場合、マネタリーベースでの変動幅は26兆円程度ということになります。
同様にETFの市場規模は12.7兆円程度に対し、日銀が保有しているETFはおよそ8.5兆円…実に7割程度の資産を持っていることになりますので、ここら辺が限界なのではないでしょうか?
REIT市場規模は約10兆円で日銀保有が3,200億円程度の3.2%…
REITはリスクが高い商品ですから、本来、中央銀行が持ち、自分のバランスシートを膨らます商品として適切な資産ではありません。
よって、日銀としても、これ以上増やすということは考えていないと思いたいところですが…
もし、REITを増やすことになると、今以上に大きなギャンブルになると思います。
日銀の手詰まり感は…購入する資産がない中、追加で量的緩和をするかもしれないというスタンスを市場にみせ続けないといけないというところにあると思います。
中国経済減速、中東・北朝鮮情勢の不安化、原油価格低下、米国利上げ等、経済・金融政策・地政学各面から日銀に対する追加緩和期待は膨らむ一方なのですが、当局として実施できる政策が狭めれれている中、日本銀行は非常に難しい舵取りを余儀なくされているというのが実情のようですね…
原油価格低下によって…日銀の掲げる…消費者物価2%達成も難しいでしょうから…
2%目標を妥当な水準へと引き下げるか…ギャンブル覚悟で…新たな追加緩和を実施するか…どちらも…行くも引くも……という感じですね。