【映画 / DVD】「東京裁判」(3)-ハルノート、天皇免責 | 太平洋戦争史と心霊世界

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日本の世相 

東京裁判が開かれていた当時の日本の世相



 以下は東京裁判での戦争に至るまでの行程から、終戦直後の事件までの諸問題についての論議です。



●ソ連による日本の戦争犯罪の追及

 

 裁判でソ連の登場により米ソ間の見解の齟齬が浮き彫りになるなど、東西冷戦の初期状態が垣間見えます。



ソ連検察 


ソ連検察「周知の如く40余年前の1904年、日本軍は旅順港内のわが艦隊に背信行為をした」

 

ナレーター:「ソ連検事は起訴状の定めた期間を4分の1世紀にもさかのぼる日露戦争に言及し、旅順攻撃を真珠湾攻撃と同じ次元で論じ、さらに日本の侵略の実例として、2つの国境紛争、『張鼓峰事件』(1938年)と『ノモンハン事件』(1939年)を持ち出してきた。

  しかしこれらの事件は既に日ソ両国の間において、正式に協定調印され、解決済みのものであった」


 

弁護側「このような非常識な反駁は認められない。日ソ中立条約を破り、攻撃してきたのはソ連である」と追及した。

 

ナレーター:「既に外で表面化している米ソの対立が法廷に持ち込まれたようだった。ソ連の非を持ち出すことは連合国側の結束を乱し、法廷の権威を傷つけられることであった」



●ソ連のシベリア抑留

 

「対日理事会でアメリカ代表シーボルト議長は、ソ連が日本人送還をサボタージュしていると公然と非難し、ソ連が同意するならGHQ1か月に1315百人の送還に必要な船舶を、48時間以内に保証すると述べた。

 

ソ連代表は理事会で孤立し、『送還問題を反ソ宣伝に利用するな』と反発した」

 

 

●ハルノートの捉え方

 

米国務長官特別顧問・バランタイン証人がハルノートについて言及しました。



バランタイン証人 


「ハルノートを日本が受け入れる可能性はないと考えていた。ハルノートは事実上の最後通牒だった。ハル国務長官は『戦争はもう避けられない』と言っていた。

  ルーズベルト大統領が日本政府の発した
126日付けの電報を傍受し、”This means war.” 『これは戦争を意味する』と言った」

 

ナレーター:「日米開戦が日本の一方的な攻撃による奇襲であるとする、検察側の主張を覆す大きなポイントだった」

 

 

●天皇免責の裏工作

 

 アメリカ側では密かに天皇の免責は決定済みでしたが、裁判で天皇無罪の証言を勝ち取らねばなりません。米側はそのための裏工作に走ります。

 

キーナン首席検察官は天皇免責の言質を取るための役割を担っており、東條英機からその証言を得ようとします。


キーナン首席検察官 


キーナン:「東條英機から、木戸幸一被告から訊き出せなかった天皇免責の証言を引き出したい」

 

東條英機にも根回しがしてあって了承済み。ところが木戸幸一被告の弁護人が「天皇の平和に対するご希望に反した行動を、木戸がしたことがあるか?」と東條に質問しました。

 

東條が「そういう事例はもちろんありません。日本国の臣民が陛下の御意志に反してかれこれすることは、ありえぬことであります」と、うっかり答えてしまいました。

 

ナレーター:「これは東條の本音であったが、明らかな失言となった。日本国民の行為が全て天皇の意志に従ったものなら、戦争も残虐行為も天皇の意思という事になる。天皇の責任を問うべきであると主張しているウェッブ裁判長がこの発言を見逃すはずがない」



ウェッブ裁判長 

ウェッブ裁判長



 東京裁判の裁判長であったウェッブは、オーストラリア出身です。彼は天皇有罪を強硬に主張しており、米国が決定した天皇免責に不満を持っていました。

 

オーストラリア人が当時アメリカ人以上に日本の戦争犯罪を厳しく断罪していたことが、ここからも見て取れます。

 

キーナン首席検察官は、これはいかんと舞台裏であらゆる工作をしました。その後東條は、天皇は進言を受けてしぶしぶ戦争に同意したと証言し、キーナンは彼の言質を取りました。これを受けてマッカーサーは、天皇の不起訴を決定しました。