慰安婦問題への対応策 | 太平洋戦争史と心霊世界

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慰安婦像 



  今まで何度か慰安婦問題を取り上げてきましたが、では残された道として、どんな解決策があるのでしょうか。ニューズウィーク・日本版(6/11号)に掲載されていた慰安婦問題の記事を基に対応策を取り上げます。

 

 まずニューズウィークは、慰安婦問題が解決不能に近いレベルまでにもつれてしまった根源は、日本政府が90年代前半に犯した3つの失敗にあると論じています。

 

 

【日本政府の3つの失敗】 


1 日本政府は致命的な判断ミスで自らパニック状態に陥り、不要な譲歩を繰り返した。

 

 慰安婦問題が始まったのは、91年に元慰安婦の金学順(キム・ハクスン)が実名で名乗り出て、日本政府の補償と謝罪を求める訴訟を起こしたのがきっかけ。

 

 これに対し、当時の宮沢喜一内閣で官房長官を務めた加藤紘一は、政府関与の証拠は見つかっていない」と発表。これに対し、朝日新聞が921月に「朝鮮人慰安婦への軍関係資料発見」という記事を掲載した。

 

5日後に訪韓が迫っていた宮沢内閣は半ばパニック状態に陥り、その後、関与は否定できない921月、第一次談話)と方向転換した。

 

韓国政治が専門の神戸大学・木村幹教授は「(加藤が)政府関与はなかった」と言い切ったのが間違い」と言う。軍が慰安所の運営に何らかの形で関わっていたのは明白で、いったん関与を示す資料が見つかれば、すぐ撤回と謝罪に追い込まれるのは明らかだから。

 

案の定、訪韓した宮沢は、当時の盧泰愚(ノ・テウ)大統領との会談で、22分間に8回も謝罪してしまった。

 

しかし韓国の主張する「強制性」を裏付ける資料は見つからなかったが、927月、政府関与があった」と認める第二次加藤談話が発表され、政府の慰安婦問題への見解は最初から180度方向転換した。

 

河野洋平 


2 「河野談話」をめぐる政治主導の「暴走」

 

 9212月の内閣改造で、官房長官に河野洋平が就任。政府は強制性を示す資料を探したが見つからなかったため、元慰安婦から聞き取り調査を始めた。

 

 当時は自民党を離党した小沢一郎の突き崩しで、宮沢内閣と自民党一党支配の55年体制は崩壊の危機にあった。

 

 焦った河野はこれ以上、時間をかけていられないという思いと、元慰安婦に対する「けじめ」という個人的信念から、閣議決定を経ることなく独断で、938月に「強制性」を認める河野談話を発表した。

 

村山富市 

 

3 左派政治家の思い込みによる失敗

 

 94年に社会党・自民党・新党さきがけの連立政権が誕生。首相に就任した社会党の村山富市は、対外的な要求がなかったにもかかわらず、慰安婦への賠償の模索を自ら始めた。

 

 村山は「使命感」から韓国の金泳三(キム・ヨンサム)大統領に対し植民地支配を、フィリピンのフィデル・ラモス大統領には慰安婦問題を謝罪。95年には日中戦争の発端となった中国の蘆溝橋を日本の首相として初めて訪問した。

 

 国家賠償は連立を組む自民党が納得しないため、「アジア女性基金」という組織を新たに設立し、民間から集めた募金を「見舞金」として元慰安婦に給付しようとした。

 

 ところが97年に韓国の元慰安婦たちに償い金を渡そうとしたが、あくまで国家賠償を求める彼女たちは受け取りを拒否した。

 

 河野や村山が暴走した背景には、外務省が初期対応で後ろ手に回って信頼を失い、首相官邸が慰安婦問題を主導するようになった事情もあった。


オバマ大統領 
 
 

 

■海外と日本との間でのコミュニケーションの齟齬

 

 本来「証拠が見つかっていない」という主張は、強制連行を否定しているのではなく、「強制連行があったかどうか分からない」というものにすぎない。

 

 しかしこうしたニュアンスは外国には伝わりにくい。証拠が見つかっていないことが「事実」であるにもかかわらず、「慰安婦の存在を否定している」と曲解されてしまっている。

 

 日本だけが糾弾されるのは不条理だが、国際社会の「常識」は、正しい史実の追求とは全く別次元のところにある。

 

 いくら強制連行の史実はないと立証しても、慰安所の過酷な実態に対してあらゆる人間が感じる生理的嫌悪感を消し去ることはできない。国際社会が慰安婦問題に厳しい目を向けるのは、慰安婦の人権や人格否定に直結するからである。

 

 

※なぜ人々が慰安婦問題に関し、「生理的嫌悪感」を感じるのかは、前日の記事をご参照ください。

 

●慰安婦問題をスピリチュアリズムの視点で見る

http://ameblo.jp/zipang-analyzing/entry-11557912209.html

 

 

■慰安婦問題の解決に向けての対策

 

 日本は新たな「談話」を発表し、日本の姿勢を世界に示すほかないのではないか。強制連行の有無は確認できないことを明記しつつ、軍の関与は認める。

 

 一方で元慰安婦たちが経験した苦痛への理解と謝罪を表明し、女性の人権を重視する日本政府の未来志向の立場を強調する。

 

 問題となった河野談話には一切触れず、新たな「総理談話」を発表する。

 


『ニューズウィーク 日本版・611日号』-慰安婦問題という名の泥沼