言語:日本語、公開:1968(昭和43)年、製作国:日本、
時間:128分、監督:丸山誠治、出演者:三船敏郎 、久保明、黒沢年男、稲葉義男、土屋嘉男
1968(昭和43)年製作の、古い方の「山本五十六」です。山本五十六役は三船敏郎さんで、ドスの効いた風格ある山本長官を好演しています。
タイトル通り、山本長官の海軍次官時代から、昭和
18年4月18日に、ブーゲンビル島上空で戦死するまでの半生を描いています。
基本的に2011年に製作された、「聯合艦隊司令長官 山本五十六」と話は同じです。内容は以下の流れです。
海軍次官時代 ⇒ 連合艦隊司令長官着任 ⇒ 真珠湾 ⇒ ミッドウェー海戦 ⇒ ガダルカナル戦 ⇒ い号作戦 ⇒ 海軍甲事件(視察途中に戦死)
山本五十六の人生は以前も掲載しましたので、ここでは目についた部分を取り上げてみます。
海軍次官時代の山本五十六(茶色の着物)。日米開戦反対で暗殺の危険があるため、陸軍の警備(右で酒を呑んでいる人物)
が付いています。
芸者(左)「私海軍さん大~いすき! スマートでねぇ。陸軍さんはヤボなくせにいばりくさって!
」
⇒でも警備の人陸軍なんですけど ・・・海軍はやっぱりモテたようですね。でも巷の人はその見た目だけに惹かれていたような気もします。
1941年9月、近衛文麿(右)の別荘、萩外荘(てきがいそう)での、山本五十六(左)との有名な会談。
山本「(日米戦争を)ぜひやれと言われれば、初めの半年か1年は随分と暴れてご覧にいれます。 2年、3年となれば、全く確信は持てません
」
しかしこの山本長官の言葉は、現在では無責任だったという非難がある一方で、一説では近衛のねつ造ではないかとも言われています。
山本長官(左)と米内光政首相(右)。真珠湾攻撃と同時に日米戦争が始まった後の会談。
山本「その気になれば、今が講和のチャンスです。例えば、占領地から全部撤退する・・・」
米内「そりゃあ、難しい。緒戦の勝利に日本中が有頂天になっているからね。真面目に平和を唱えようもんなら、まるで国賊扱いだ」
本当に山本長官が米内首相にこんな事を進言していたのでしょうか。私は聞いたことがないのですけど。
でもたとえ山本長官の言うように、実際に講和しようとしても、米国は受け付けなかったでしょう。あちらの戦争計画としては、緒戦では戦争準備に時間をかけて、態勢が整ったら反撃するというシナリオが既にできていましたから。
ガダルカナル戦で、陸軍の辻政信参謀(上の画像)が、海軍の艦を陸軍用の輸送に回してくれと、海軍参謀に要請しています。
海軍参謀(左)「駆逐艦を輸送に回すことも、海軍としては大変な犠牲なんです。少しは海軍の立場になってもらわんと・・・」
辻参謀(後頭部の人)「しかし、ミッドウェーの失敗は海軍ですよ。ガダルカナルだって、先に手を出したのは海軍だ。もっと責任をもってもらわなくっちゃ」
海軍参謀「なにぃ~ッ! 」と立ち上がりますが
、片割れが止めに入ります。
陸軍はガダルカナルに出兵したのに、海軍は輸送に協力してくれないので、自前で船舶部隊を作ってしまいます。 そして日本軍は陸軍の中に海軍に相当する組織があるという、なんだか訳のわからない展開になっていきます。
日本の陸海軍が協力体制を取れなかった根本的原因は、統帥機構にあったのですが、これを見直すとなると、天皇主権とされる憲法制度も変えざるをえませんから、見直しは到底無理だったわけです。
ミッドウェー海戦敗退後、書き物をしている山本長官。
「あと百日の間に、小生の余命は全部すり減らす覚悟にてござ候」
山本長官付きの従兵がその決意書を見つけます。
従兵「だから長官は死ぬ覚悟で白い軍服(二種軍衣)をずっと着続けているんだ」
そこで従兵は一計を案じ、山本長官に三種軍衣(青褐色)を用意して着てもらうよう懇願します。
このエピソードも初めて聞きますが、本当にこの話の通りだったのでしょうか、真相は分かりません。 今までずっと白い軍服でしたが、従兵の願いを受け入れ青褐色の制服をきて視察に出かけました。あとは史実通り・・・山本長官搭乗の一式陸攻は、日本軍の暗号解読した米軍に撃墜されてしまいます。
戦闘場面は、この時代あちこちの戦争映画に使い回しされた「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」の場面が採用されています。
2011年製作の「山本五十六」と比べると、私は戦闘場面以外はこちらの旧作版の方が好きかも・・・新作版は現代っぽい雰囲気が、映画の中に反映し過ぎてしまった気がします。
【動画】連合艦隊司令長官 山本五十六 予告編(02:40)
http://www.youtube.com/watch?v=KN83FNhBXXc
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