
シルバーバーチとはかつて3000年前に地上生活を送り、地球を霊的に浄化するため、人間に霊的真理を届けようと地上に降りてきた高級霊です。
1937年11月11日、イギリスの休戦記念日(注1)において、シルバーバーチは戦没者追悼と平和に向けたメッセージを送ってきました。
(シルバーバーチ)
「毎年この日が巡ってくるごとに、戦死者の犠牲が空しいものであることをますます痛感させられます。たった二分間、あなた方は「栄誉ある戦没者」に無言の敬意(黙祷)を捧げ、それからの一年間は忘れ、この日が訪れると棚から下ろして埃(ほこり)をはたき、二分間だけ拝みます。
彼らの犠牲的行為は全て無駄に終わっています。十九年間(一九三七年現在で)十字架に架けられ続けてきたようなものです。それをあなた方は「偉大なる戦争」(注2)と呼びます。
その偉大さとは殺戮の量、無駄な殺人の多さに過ぎないのではありませんか。全ての戦争を止めさせるための戦争だったとおっしゃいますが、その言葉の何と空しいことでしょう。何という欺瞞に満ちた言葉でしょう。
自分の生命まで犠牲にして祖国のために献身した若者たちが、実際は霊界で辛い幻滅の歳月を送っていることをご存じでしょうか。夢多き青春のまっただ中で肉体を奪われたのです。戦地へ赴いた時は文明を守るのだという理想に燃えておりました。
しかし、そうした彼らを、その後の地上世界は裏切り続けております。地球上から戦争はなくなっておりません。栄誉ある戦死者への二分間の黙祷を捧げている最中でも「休戦」はありません。殺戮は二分間の休みもなく続いております。
真の平和は霊的摂理を適用する以外にないということを、地球人類はいつになったら悟るのでしょうか。戦争はもとより、それが生み出す流血、悲劇、混沌、破綻といったものの元凶は「利己主義」なのです。
その利己主義に代わって互いが奉仕的精神を抱き合うことによって初めて平和が訪れること、自国の物的威力を誇示しようとする古い唯物思想を捨て、代わって互いが互いのために生き、強い者が弱い者を助け、持てる者が持たざる者を援助しようとする気風になることによってのみ、平和が訪れることを知らねばなりません。
二分間だけの、それも、心にもない口先だけの敬意だけで、空しく霊界へ送られた者を侮辱してはなりません。和平へ向けていろいろと努力が為されながら、ことごとく失敗しております。(注3)
が、唯一試みられていないのは、霊的真理の理解による方法です。それが為されないかぎり、戦争と流血が止むことはないでしょうし、ついには人類が誇りに思っている物質文明も破綻をきたすことでしょう」
【解説】シルバーバーチは、無駄な戦争をなくす努力が戦死者への手向けである。さもないと彼らが報われないと話しています。世界では未だに自己顕示欲・支配欲・虚栄心などの利己主義がはびこり、争いはいつまでたっても無くなりません。
この状態を無くすには、シルバーバーチの語る宇宙の法則(自然の摂理)の知識を広め、人の為に生きる社会を目指さないと、平和は永久に来ないと警告しています。
注1):11月11日の休戦記念日
11月11日は、英・加・豪などの西欧諸国ではリメンブランス・デイ(Remembrance Day)と呼ばれる、各国共通の戦没者追悼の日となっている。(米国はVeterans Day)この祈念日は第一次大戦終了の1918年から始まった。日本では8月15日の終戦記念日がそれにあたる。
■Remembrance Day(英語)
11月11日は戦死者を悼むため、赤いポピーの模造花(左)を、日本の赤い羽根募金のように胸に付ける。(右)
注2):「偉大なる戦争」
英語で第一次世界大戦は ”The Great War” であり、文字通り「偉大なる戦争」である。
注3):和平へ向けていろいろと努力が為されながら、ことごとく失敗しております。
このシルバーバーチのメッセージは1937年に語られた。前年の1936年、ヒトラーはラインラント非武装地帯に進駐。1938年3月、ドイツがオーストリアを併合。1939年9月に独軍のポーランド侵攻で第二次大戦が勃発。
「和平がことごとく失敗」というシルバーバーチの言葉からも、1937年には既に大戦前夜の気配が漂っていたことが伺える。シルバーバーチもこのままでいくと戦争に突入することをそれとなく示唆している。
『シルバーバーチは語る』、18章 霊界側から見た戦争
キーワード:戦争、休戦記念日、利己主義