【映画 / DVD】「父親たちの星条旗」 | 太平洋戦争史と心霊世界

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海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。



原題:Flags of Our Fathers、言語:英語、公開:2006(平成18)年、製作国:アメリカ、時間:132分、
監督:クリント・イーストウッド、出演者:ライアン・フィリップ、 ジェシー・ブラッドフォード、 アダム・ビーチ


星条旗を立てる場面


  日米戦争で1945(昭和20)年の硫黄島の戦いにまつわる実話をベースとした映画です。

  擂鉢山(すりばちやま)の頂上に星条旗 アメリカ国旗 を掲げた米軍兵士が報道写真により思いがけず有名となり、戦争のプロパガンダとして利用され翻弄されていく様が描かれています。

レイニー、アイラ、ドク  レイニー(右)、ネイティブ・アメリカンのアイラ(右から2番目)、衛生兵のドク(右から3番目)の3人は、硫黄島の山頂に星条旗 アメリカ国旗 を立てた写真が新聞に掲載され、米国内で英雄とされてしまいます。

宣伝演説  この人気に目を付けた政府から、3人は国民に戦時国債の購入を促すための宣伝を命令されます。

サインをねだられる  戦時国債宣伝のために全国を回りますが、どこへ行ってもアイドル並みの人気です。 これはレイニーが見知らぬ女性にサインをねだられているところ。

  広告にある ”Now All Together” 3.11震災の「絆」や「みんなでつながろう」にそっくりのスローガンです。

  私自身は震災時に流行った「絆」という言葉には胡散臭さを感じていました。どうも全体のハーモニーを強調することで国民、特に被災者の不満を封じ込めるためのスローガンに見えてしまったので・・・。

硫黄島での回想シーン  硫黄島での回想シーン。3人は星条旗を立てただけで英雄視されることに戸惑います。加えて当時旗を立てたのは6人だったのに、戦死して残りは3人になってしまったことに仲間が報われないと罪悪感を持つようになります。

戦場へ戻るアイラ  政治の道具とされることや人種差別に嫌悪感を持つようになったアイラは、勤務中の飲酒 を咎められたこともあり、こっちの方がいいと再び戦場へと戻ってしまいます。

 話の中で差別主義者がアイラを「インディアン!」と吐き捨てる場面がありますが、現在アメリカでインディアンと呼ばれた人たちは、「ネイティブ・アメリカン」(Native Americanと言われます。

  「インディアン」は差別用語とまではいかないものの、一般的には使わなくなっています。


戦後  アイラは運良く生き残り復員しますが、貧困の中で亡くなってしまいます。彼も含め既に人気の去った3人は、戦後困難な人生を歩むことになりました。


当時の写真、硫黄島攻略 

エンディングにこのような当時の写真が出てきますが、イーストウッド監督は映画の中でもなるべく当時の構図に似せて撮影しているみたいです。


映画での硫黄島攻略  映画で硫黄島攻略の解説をする将校。上の写真と似ています。

  イーストウッド監督の映画は話も音楽も静かに淡々と流れていく作品が多いですが、これもやはりそんな作風です。

 

主人公3人は人気が出るとちやほやされ   、ブームが去ると見向きもされなくなるという   、気まぐれで無責任な社会の価値観に踊らされます。監督はそんな人生の空虚さのようなものを表現したかったのかもしれません。

劇中の3人はそこに価値観を置きませんでしたが、こういう環境に身を置く芸能人などは、だから精神的に不安定になる人が多いのでしょうね。∑(-x-;)


海兵隊記念碑 
海兵隊記念碑(ワシントンD.C.にあるアーリントン墓地)



キーワード:米軍、海兵隊、硫黄島、戦時国債、ジョン・ドク・ブラッドリー、アイラ・ヘイズ、レイニー・ギャグノン