「ジパング」11巻の外伝、「フレンドシップ」の続きです。草加中尉のイギリス駐在の話から、イギリス士官について取り上げています。
■前回の話:外伝「フレンドシップ」のあらすじ
海軍兵学校で英語教師をしていたイギリス人、セシル・ブロックは、日本では誰でも海軍士官に志願できることに、次のように驚きの声を上げています。
セシル・ブロック
「兵学校の新入生は、日本国民のあらゆる階級層を代表する青年の集まりと言ってよい。たとえば私が最後に見た新入生の中には二人の皇族がおり、同時に漁師の息子もいた。
このように兵学校の生徒が国民全体の各階層を代表するものであることは、私に深い印象を与えた。
我々イギリス国民は、民主主義を誇りとしている。しかし、イギリス海軍の士官が特権階級と中流階級の上層から出ていることは、否定することのできない事実である。」
ということは、「ジパング」に出てきたハミルトン中尉とエリザベス兄妹は、アッパーミドル(中流の上)かアッパー(上流)クラス出身ということになります。
ところで、アッパークラス(上流)とアッパーミドル(中流の上)でも様々な嗜好や趣味が違ってくるそうです。この違いをハミルトン兄妹の行動を通して観察します。
パーティ後、ハミルトン中尉は草加中尉をパブに誘います。(下の画像)
草加中尉の「なんでも」という言い方いかにも日本人らしいです。(^_^;)
しかしアッパークラスはパブには行きません。また注文した黒ビール(スタウト又はギネスビール) は、何と労働者階級のビールだそう。この辺は作者のかわぐち先生の調査不足か?アッパーミドルでは「ステラ・ビール」というビールを好んで飲むそうです。
ついでにアッパーミドルのスポーツは、ラグビー かクリケット。サッカーはむしろ労働者階級のスポーツ。
新聞は「タイムズ」か「ガーディアン」、「インディペンデント」紙です。
アッパーミドルクラスのスポーツ、クリケット。野球に似ているんでしょうか。
草加中尉がハミルトン兄弟の家を訪問した時も、エリザベスがお茶を運んできて使用人はいません。(下の画像)となると、ハミルトン一家はアッパークラス(上流)ではないのかもしれません。
またハミルトン兄弟の曽祖父が、クリミア戦争(1853-1856年)でビクトリア勲章を叙勲されたと語っています。 ビクトリア勲章は、当時イギリスで軍の高官のみに授与されたものでした。
ビクトリア勲章は正確にはビクトリア十字章という。
従ってハミルトン家は先祖代々将校を輩出している、典型的なアッパーミドルクラス(中流の上層)と言えるのではないでしょうか。