言語:日本語、公開:1954(昭和29)年、製作国:日本、
時間:109分、監督:本多猪四郎、
出演者:池部良、岡田茉莉子、三國連太郎
昭和29年、終戦からそう遠くない年代に製作されたモノクロ映画です。太平洋戦争末期にラバウルに駐在していた航空隊長の若林大尉を中心とするお話です。
上のポスター(チラシ?)はメロドラマっぽく見えるかもしれませんが、大半が戦争を対象とした内容で、ロマンス的要素が少し入っている程度です。
女性の観客動員を狙ったのでしょうか、ポスターは恋愛を過剰に強調している印象です。
主役の飛行隊長、若林大尉(池部良)。池部良(1918-2010)という俳優名は初めて知ったのですが、調べてみたらこの方だったのですね。↓
この人ならテレビで見たことがあります。しかし顔って年代を経ると別人のように変わってしまいますね。同一人物だと全然分かりませんでした。
あらすじです。昭和19年のラバウル。飛行隊長の若林大尉は真面目な堅物で、部下たちが飲んで羽目をはずしたり、女性と一緒にいたりすると不機嫌になり、宿舎に戻るよう叱責するような人物です。
そんなわけで野口中尉と付き合っていた現地人の娘からは嫌われ者として通っていました。部下からも厳格すぎるとの不興を買っていました。
そんな中、「イエロースネーク」 と呼ばれる米軍パイロットにより、日本機は次々と撃墜され窮地に陥っていました。しかしある日、若林大尉はイエロースネークと渡り合い、撃墜して捕虜にすることに成功します。
軽傷を負ったイエロースネークは病院に収容されます。 そこで若林大尉はイエロースネークから事情聴取をします。
(中央の包帯)
しかしイエロースネークから日本軍のパイロットは何故パラシュートを持っていないのか、人命軽視もはなはだしい、日本機は熟練した名人芸のできるパイロットしか操縦できないと言われます。
また自分は戦争前に冷蔵庫のセールスマンだったが、経験がなくてもすぐ飛行機の操縦をマスターできた。米軍機は誰でも操縦できるようにできている、などの話を聞きます。若林はその話に衝撃を受け、やがて心の中で何かが変わっていきます。
イエロースネークはそのうちどさくさに紛れて脱走してしまいます。
その後出撃した野口中尉は音信不通になってしまいます。あきらめろという周囲の反対を振り切って、若林が自ら捜索に出向きます。
イエロースネークとの対話後、人命尊重志向になるなど、若林の行動は少しずつ変化していきます。
若林大尉は負傷した野口中尉を見つけ連れ帰りますが、到着時には既に彼は息絶えていました。悲しんだ現地娘は野口中尉の後を追って命を絶ってしまいます。
この時被弾して負傷した若林は病院に入院させられます。 彼の看護担当が看護婦のすみ子(岡田茉莉子)で、次第に若林は彼女の気になる存在となっていきます。
若林大尉を担当する看護婦すみ子(岡田茉莉子、1933-)。この方はご存命ですが調べたらやはり経年変化が・・・。
「朝に紅顔ありて夕べに白骨となる」という故事を思い出しました。
若林が退院後、ラバウル航空隊はトラック島へ撤収、看護婦たちは内地へ帰還ということになりました。
これは昭和19年2月に米軍の空襲でトラック島の航空兵力が壊滅したため、ラバウルの航空部隊はトラック島に撤収させられましたが、この出来事でしょうか。
最後のすみ子との電話のやり取りでお互いに惹かれあっていたことを知った若林は、すみ子を港まで見送りに行きます。
しかし再びイエロースネークが現われ、すみ子の乗船した輸送船を攻撃し始めます。 若林も、イエロースネークと空で一騎打ちとなりますがその結果は・・・。
ネタばれは面白くないのでやめておきます。ちなみに主役の池部良さんは、戦時中は海軍ではなく陸軍少尉(終戦時は中尉)だったそうです。
キーワード:海軍、太平洋戦争、飛行兵、ラバウル、防暑服、零戦、病院、看護婦