霊界通信の中には、あの有名なタイタニック号で遭難したジャーナリストからの、死亡直後から霊界へ赴くまでの内容も残されています。
ジャーナリストはウィリアム・ステッドというイギリス人で、生前から死後の世界の研究を行っているスピリチュアリストでした。
ウィリアム・ステッド:http://bit.ly/NMnJdV
タイタニック号は1912年4月10日、イギリスのサウザンプトン港を出発し、ニューヨークへ向かう途中、氷山に衝突し大西洋下に沈没しました。
救助者は乗船者約2,200名のうち約700人で、残りの人間は海中に水没していきました。ステッドもこの中の一人でした。
霊界に移動後、ステッドはこの時の大惨事の状況を霊界通信で地上へ送ってきました。
この内容は大災害の際の霊界での救済活動がどのようなものかというのと、生前に死後の世界を知る人間が、死亡後にどのような状況に置かれるかという点に特徴があり、衝撃的な話となっています。
長文ですので2回に分けました。
(ウィリアム・ステッド)
「私が地上を去って霊界入りする時の様子については、ここではあまり述べたくありません。すでに、いろんな場所で何度も述べております。
死の瞬間は、当然のことながら、大変な混乱状態となりました。が、それが治まってからは、死後の後遺症のようなものは、二度と体験しておりません。が、その死の瞬間のことは述べる気にはなれません。
何よりも私が驚いたのは、あの混乱状態の中にありながら、他の溺死者の霊を私が救出する側の一人であったことです。私自身も本当は大変な状態にあったはずなのに、他の霊に救いの手を差しのべることができたという、その絶妙な転換は、率直に言って、まったくの驚きでした。
その時の事情が事情でしたから、なぜだろう?何のために?といったことを考える余裕はありませんでした。そんな疑問が顔をのぞかせたのは、少し後のことです。
落ち着く暇もなく、私をさらに驚かせたのは、とっくの昔に他界したはずの知人・友人が私を迎えてくれたことです。死んだことに気づく最初の原因となったのはそのことでした。そうと知って、どきっとしました。
次の瞬間、私は、自分で自分を点検しておりました。一瞬のうろたえはありましたが、それはホンの一瞬のことです。すぐに落ち着きを取り戻すと、死後の様子が地上で学んでいた通りであることを知って、何ともいえない嬉しい気持ちになりました。
ジャーナリストの癖で、一瞬、今ここに電話があれば!と、どんなに思ったことでしょう。その日の夕刊に特集記事を送ってやりたい気分でした。
以上が、他界直後の私の意識的反応です。それからその反動ともいうべき変化が生じました。茫然自失の心境になり、やがて地上の我が家のことが気になりはじめました。その時点では、タイタニック号沈没のニュースはまだ入っていなかったはずです。
ニュースを聞いたら家族の者はどう思うだろうか。その時の私の心境は、自分はこうして無事生き続けているのに、そのことを知らせてやるための電話が故障して使いものにならないという、じれったさでいっぱいの状態に似ていました。
そのとき私は沈没の現場に来ておりました。他界後のことを長々と述べてきましたが、時間的にはまだ何分も経っていなかったのです。地球のすぐ近くにいましたから、その現場のシーンがありありと見えるのです。
沈没していく船体、ボートで逃げる船客―――そのシーンが私を自然と行動に移らせたのです。救ってあげなくては!そう思った次の瞬間には、私は茫然自失の状態から覚めて、水没して肉体から離れていく人たちを手引きする役をしておりました。」
『タイタニック 沈没から始まった永遠の旅』、コナン・ドイル / 序、エステル・ステッド/ 編、近藤千雄 / 訳、1992年ハート出版
キーワード:霊界入り、タイタニック沈没、事故死、死の様子