二つの大本営発表 | 太平洋戦争史と心霊世界

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 『ジパング』のアニメ版・第26では「みらい」で角松・菊池・小栗の海佐3人組が「大本営発表」=ウソで固められたラジオニュースを聞いているシーンがあります。

ジパング・26話

背後の嘘だらけのラジオ放送に聴き入る3人組。「いわゆる大本営発表ってやつか・・・」


一般国民から見れば、大本営とは本来一つであるはずですが、実のところ内では陸軍と海軍がお互いに真相を打ち明けることもなく、二つの大本営が存在していました。

 

 陸軍の米軍戦法研究グループは、米軍の破損した艦船の各種統計をとっているうちに、あることに気付きました。

 

それは大本営海軍部の発表の中で撃沈・撃破・大破した米軍の艦船を総計すると、現時点の米海軍には航空母艦は一隻もなく、米艦隊の活動能力はゼロで、全部海底に沈んだことになってしまうという事です。

 これでは戦争の勝敗は既についてしまっているはずです。

 彼らはこれで大本営海軍部の発表が、いかにいい加減なものであったかをはっきりと悟りました。一隻もいなくなったはずの米海軍の反撃は、かえってピッチを上げ、奇襲が強襲に変ってますます激しくなっていきます。

 1944(昭和19)年10月の台湾沖航空戦では、米軍の損害はわずかであったにもかかわらず、大本営海軍部は「米軍の空母19隻、戦艦4隻、巡洋艦7隻、(駆逐艦、巡洋艦を含む)艦種不明15隻を撃沈・撃破」とまたもやガセの情報を発表しました。

戦時中の朝日新聞 台湾沖航空戦の記事。これはすごい。空母19隻、合計45隻を一気に撃沈しました
 

 

このデタラメ大戦果発表を鵜呑みにした陸軍は、急きょ作戦計画を変更してレイテ沖海戦を行う破目に陥るのだから、海軍航空戦の戦果の発表は、地獄への引導のようなものでした。

 以上のように陸軍と海軍は双方とも、何の連絡もなく勝手に戦果を発表していたため、陸軍は海軍の発表を、また海軍は陸軍の発表を鵜呑みにするしかありませんでした。

 日露戦争以来、陸海軍で二本建ての指揮系統が存在するという、組織的欠陥が改められることはついにありませんでした。


大本営発表 

お互い黙して真実を語らず・・・

 

また国民の多くは、「連合艦隊がいつか出てくる」、「連合艦隊が出てくれば勝てる」とそんな神話を最後まで信じていました。しかし戦争に負けてから、連合艦隊はミッドウェーで早々と海の底に沈んでいたのを知り、本当に驚いたのでした。

 

これはまさに現在の原発問題の状況にも当てはまります。それは今も伝統的に続く縦割り行政の存続と、権力に迎合する隠蔽体質の日本のマスコミです。

 

例えば日本では内部被曝を扱うのは厚生労働省で、外部被曝を扱うのが文部科学省となっています。身体は2つには分けられないし、健康への影響を考える上では外部・内部被曝を「複合被曝」として、両方とも一緒に考えなければいけないのです。

 

「外部被曝は文科省へ行ってくれ」、「内部被曝は厚労省でウチ(文科省)では扱ってません」では話になりません。こんな双方とも連携のない縦割り行政で、問題が解決すると思っているのでしょうか。

 

露呈したマスコミの今も変わらない隠蔽体質にも、私は正直言って驚きました。大本営発表が戦後65年以上経た現在までも続いていたのかと・・・。

 

原発が無いと電力が不足するという「ないない詐欺」をはじめ、「オオカミ少年」同様のウソップ物語を繰り返し、権力をカサに着た機関の情報を検証もせずに流すなど、こんな記事ならサルでも書けます。

 

日本のマスコミのダメさ加減は、海外メディアと比較したときに一層際立ちます。次回は日本と海外メディアの違いを比べてみたいと思います。