原発後のエネルギー政策 【広瀬隆氏・天然ガス】(1) | 太平洋戦争史と心霊世界

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田中正造1 

       田中正造


 3.11以前から長らく原発反対を訴えていたジャーナリスト、広瀬隆氏の講演内容を口述筆記して2回にまとめました。

 広瀬氏は原発の代替えとして、天然ガスによるコンバインドサイクル発電を推奨し、自然エネルギーは即座には頼りにならないと主張しています。

 

■ガス・コンバインドサイクル発電:広瀬隆(動画)

http://www.youtube.com/watch?v=LrYXGx5trgs
アップロード:2011518日、時間:1358

 

 

【講演内容】

 

 原子力に代わって天然ガスに移行するということは、世界のエネルギー業界のプロの常識となっている。これはもう間違いない。

 

ガス・コンバインドサイクルの技術的な説明

ガス・コンバインドサイクル1
ガス・コンバインドサイクルの技術的な仕組み


 世界の趨勢はガス・コンバインドサイクルに向かっている。コンバインドサイクルというのはガスタービンのこと。ガスタービンは飛行機のジャンボジェットに付いているのと同じもので、これを固定する。

 

このエンジンで猛烈なシャフトを回す。その排熱は600度もあるので、それを高圧タービンに送る。ここで高圧で蒸気を作る。そして中圧→低圧へとエネルギーを搾り取る。

 

ということは、(1)ガスタービン→(2)高圧蒸気タービン→(3)中圧→(4)低圧4つのタービンで発電するということ。このコンビネーションで「コンバインドサイクル」と呼ばれる。これは都市ガスと全く同じメタンを使用している。

 

ガス・コンバインドサイクルは、効率を高めるだけでなく、ガスがクリーンであるため、効率上昇によって、排気ガス中の窒素酸化物と硫黄酸化物、排熱が著しく減少する。

 

東京電力の川崎発電所では、エネルギー変換効率が世界最高レベルの59%を実現した。

 

 東電資料によると、火力発電の今までの熱効率は43%、ガス・コンバインドサイクルでは55%いく。原発の熱効率は30%でコンバインドサイクルの半分に過ぎない。

 

九州電力の新大分発電所のガス・コンバインドサイクル

新大分発電所 

 

熱効率49%を達成。1124万キロワットを13基揃えて総能力230万キロワットに達する。(1,000キロワット=300世帯の電気量といわれている)

 これはスイッチを入れると一時間ですぐ起動するので、電力需要に合わせて起動すれば良いから効率がよい。

 

中部電力の愛知県知多発電所

知多発電所 

 

 12号機各37.5万キロワット、3号機50万キロワット、4~6号機各70万キロワットの蒸気タービン発電機で、1256号にはコンバインドサイクルによる各15.4万キロワットのガスタービン発電設備が併設されて、合計出力396.6万キロワット。

 

この数値は浜岡より遥かに大きい。浜岡は360万キロワットで稼働率は50%なので、実質180万キロワットしか発電していない。

 

環境保護について

 

 原発の場合は出力の2倍の熱を海に捨てている。例えば上関原発は出力2746万キロワットの2倍以上の排熱、557.7万キロワットを海に捨てている。

 

しかし柳井の火力発電(中国電力)では出力140万キロワットに対し、排熱は164.3万キロワット、つまり熱効率が2倍近くになり、排熱量が2分の一に抑えられる。

 

 ガス・コンバインドサイクルはまったくクリーンで簡素な発電プラントであり、無駄なものは何もいらない。数か月で設置できるので、原発のような複雑怪奇なものはいらない。

 

ガス・コンバインドサイクルは世界の趨勢

ガス・コンバインドサイクル2 
アメリカのエネルギー省のデータ


 アメリカのエネルギー省のデータで、2007年から2030年までの、エネルギーは何を主力とするかの予測図がある。これはブッシュ政権の末期に作成された。この当時さえ既に天然ガスを最大にしている。原発は5%でこれはオプションであるとして、原発主導ではないことがはっきり断って書いてある。