![田中正造1](https://stat.ameba.jp/user_images/20120209/03/zipang-analyzing/19/51/j/o0274042211783077683.jpg?caw=800)
田中正造
3.11以前から長らく原発反対を訴えていたジャーナリスト、広瀬隆氏の講演内容を口述筆記して2回にまとめました。
広瀬氏は原発の代替えとして、天然ガスによるコンバインドサイクル発電を推奨し、自然エネルギーは即座には頼りにならないと主張しています。
■ガス・コンバインドサイクル発電:広瀬隆(動画)
http://www.youtube.com/watch?v=LrYXGx5trgs
アップロード:2011年5月18日、時間:13分58秒
【講演内容】
原子力に代わって天然ガスに移行するということは、世界のエネルギー業界のプロの常識となっている。これはもう間違いない。
■ガス・コンバインドサイクルの技術的な説明
世界の趨勢はガス・コンバインドサイクルに向かっている。コンバインドサイクルというのはガスタービンのこと。ガスタービンは飛行機のジャンボジェットに付いているのと同じもので、これを固定する。
このエンジンで猛烈なシャフトを回す。その排熱は600度もあるので、それを高圧タービンに送る。ここで高圧で蒸気を作る。そして中圧→低圧へとエネルギーを搾り取る。
ということは、(1)ガスタービン→(2)高圧蒸気タービン→(3)中圧→(4)低圧4つのタービンで発電するということ。このコンビネーションで「コンバインドサイクル」と呼ばれる。これは都市ガスと全く同じメタンを使用している。
ガス・コンバインドサイクルは、効率を高めるだけでなく、ガスがクリーンであるため、効率上昇によって、排気ガス中の窒素酸化物と硫黄酸化物、排熱が著しく減少する。
東京電力の川崎発電所では、エネルギー変換効率が世界最高レベルの59%を実現した。
東電資料によると、火力発電の今までの熱効率は43%、ガス・コンバインドサイクルでは55%いく。原発の熱効率は30%でコンバインドサイクルの半分に過ぎない。
■九州電力の新大分発電所のガス・コンバインドサイクル
熱効率49%を達成。11~24万キロワットを13基揃えて総能力230万キロワットに達する。(1,000キロワット=300世帯の電気量といわれている)
これはスイッチを入れると一時間ですぐ起動するので、電力需要に合わせて起動すれば良いから効率がよい。
■中部電力の愛知県知多発電所
1・2号機各37.5万キロワット、3号機50万キロワット、4~6号機各70万キロワットの蒸気タービン発電機で、1・2・5・6号にはコンバインドサイクルによる各15.4万キロワットのガスタービン発電設備が併設されて、合計出力396.6万キロワット。
この数値は浜岡より遥かに大きい。浜岡は360万キロワットで稼働率は50%なので、実質180万キロワットしか発電していない。
■環境保護について
原発の場合は出力の2倍の熱を海に捨てている。例えば上関原発は出力274.6万キロワットの2倍以上の排熱、557.7万キロワットを海に捨てている。
しかし柳井の火力発電(中国電力)では出力140万キロワットに対し、排熱は164.3万キロワット、つまり熱効率が2倍近くになり、排熱量が2分の一に抑えられる。
ガス・コンバインドサイクルはまったくクリーンで簡素な発電プラントであり、無駄なものは何もいらない。数か月で設置できるので、原発のような複雑怪奇なものはいらない。
■ガス・コンバインドサイクルは世界の趨勢
![ガス・コンバインドサイクル2](https://stat.ameba.jp/user_images/20120226/20/zipang-analyzing/b0/1e/j/o0317029711818182711.jpg?caw=800)
アメリカのエネルギー省のデータ
アメリカのエネルギー省のデータで、2007年から2030年までの、エネルギーは何を主力とするかの予測図がある。これはブッシュ政権の末期に作成された。この当時さえ既に天然ガスを最大にしている。原発は5%でこれはオプションであるとして、原発主導ではないことがはっきり断って書いてある。