【映画 / DVD】 『連合艦隊』 | 太平洋戦争史と心霊世界

太平洋戦争史と心霊世界

海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。


言語:日本語  製作年:1981年  

製作国:日本  時間:146

監督:松林宗恵(本編)、中野昭慶(特技監督)

出演者:永島敏行、金田賢一、森繁久彌、財津一郎、中井貴一、小林桂樹、丹波哲郎、高橋幸治、古手川祐子

連合艦隊10



 

 お勧めと言われて見たのですが、これは・・・悲しい映画でした。

 『連合艦隊』というので参謀中心の話かと思いましたが、「本郷家」と「小田切家」という架空の出征兵士の家族を主軸にして、戦艦「大和」の沖縄特攻で連合艦隊が消滅するまでの話を描いています。

 

本郷家: 親の意に反して長男・英一は海軍士官の飛行士となり、婚約者を残して戦死。次男・眞二は高等学校(現在の高校~大学前期程度)に入学し、学問の道を進もうとするが、招集が来て予備士官となる。残された長男の婚約者と結婚するが、後に戦艦「大和」で沖縄特攻に向かい戦死する。

 

小田切家: 船大工で18年間海軍に在籍した元兵曹長の父親は、息子を海軍兵学校に入学させて喜ぶが、息子は後に特攻隊をめざし父親を後悔させる。予備役だった父にも招集がかかり、やがて彼も戦艦「大和」とともに沖縄の海に沈んでいく。

 

 最後に戦艦「大和」に乗り組むことで本郷・小田切両家の人たちが出合い、話がリンクしていきます。

連合艦隊1 

肩書きの字幕が出るのでキャストがわかりやすかったです。画像中央は存在感が際立っていた丹波哲郎(小沢治三郎役)。彼はすでに大霊界へ行ってしまわれましたが・・・。

連合艦隊2 

話は良かったのですが、戦闘シーンがチャチな印象だったのが残念。戦艦など明らかに模型でごまかしたのがわかります。


連合艦隊3 

山本五十六長官。うたた寝しているのではなく、(^_^;)ブーゲンビル上空で戦死した場面。映画が『連合艦隊』なので、長官死後も話は続きます。

連合艦隊4 

沈没間近の艦から脱出するためラッタルを登ろうとするが、負傷兵に「連れて行ってくれー!!」としがみつかれ、芥川龍之介『蜘蛛の糸』のカンダタ状態に。

連合艦隊5 

(小田切家)父親の兵曹長(左)が少尉候補生の息子(右)に敬礼。

 

父親(左側):「お前から(手を)下ろさんかい。同じ(階級章が)金筋一本でも、兵曹長よりは(少尉)候補生のほうが上じゃけのう。」

連合艦隊6 

息子(右側):「でも・・・」とためらうが、結局自分から先に挙手の手を下す。


連合艦隊7 

小田切兵曹長(左)と次男の本郷眞二少尉(右)が戦艦「大和」内で出会う場面


連合艦隊8 

 本郷家の戦死した息子のお通夜の席で。

 

近所の人A:「2人の子供をお国にささげて、乃木大将のようや。まっこと、軍国の父や。」

 

近所の人B:「いやー、名誉なことや。」


連合艦隊9 

 人々は口々に「名誉の戦死者」をほめちぎりますが、戦争が終わったらあら不思議、今度は復員兵に罵声を浴びせます。(戦後の罵声の場面は映画にはありません)

 

この極端な変貌には今見ても呆れてしまうのですが、「持ち上げておいて落とす」という気まぐれな大衆心理をよく現わしています。

 これには米軍のプロパガンダの影響もあったのですが、しかし軍人も命懸けで戦ったのに、内地の安全圏にいた人間に身勝手な評価で翻弄されてたまらなかったろうと、この場面を見て皮肉ってしまいました。

 

 最後はみんな戦死してしまい、残ったのは女性と子供と老人だけになってしまいました。

 

映画の終盤に本郷家の父が浜辺に出かけ、「英一」「眞二」と砂で名前を書いて息子たちをしのぶのですが、波で跡形も無く消されていってしまう場面が二人のたどった運命を思わせるようで虚しかったです・・・。