吊床(毛布などを中に詰めてまとめた30kgのハンモック)、或いは手箱を頭上にさしあげ、足をなかば曲げて立つ。やがて、足がぶるぶると震えだし、あたかも電気風呂にはいったように見える。
■「ウグイスの谷渡り」
椅子の下をくぐり、テーブルをまたぎ、また椅子の下をくぐって、ホーケキョーと鳴きながら10テーブルをまわって元に位置につく。一つのテーブルを超すごとに、ホーケキョーと鳴く。鳴き声が教班長に気に入られないと、再度やり直しさせられる。バッターよりましだが、親が見たらさぞ嘆くだろう。
海兵団や教班長によって、いろいろと異なった罰直があるそうで、艦船ではロープに水を浸したものや、パイプで尻を殴るというものもありました。
当時新兵だった著者は、以上の話の最後にこう結んでいました。
「われわれもその生活になれてくるに従って、軍隊生活が理解できるようになり、また、無謀と思われた罰直制裁にも、じつはそれなりの意味と必要性のあることもわかってくる。もちろん、これは後日のことである。」
この感想を読んだ時、著者は軍隊生活が苦しかったので、ナンセンスな制裁行為を無理やり「意味のある体験だった」と自分自身に思い込ませ、無理やり納得したのではないか、と疑問に思っていました。
しかし最近、現役消防士の方の話を聞く機会があったのですが、以前しごき訓練(体罰はないと思いますが)を受けたが、現在はそれが実務の上でも役に立っている、と上記著者と同様の感想を述べられていたのです。
それを聞いてなるほど、一見理不尽な行為でも、体験してみなければわからない効用もあるのだな、と納得しました。
※ 元海自の方から、「海軍の兵隊いびりは新兵の為でなく、上官の力の誇示やイジメがほとんどなのでは」という意見も頂きましたので、コメントも参考にどうぞ。