宿からの帰り道を2時間犬が案内してくれた話。 | ~らくがき雑記帳~ Illustration note

宿からの帰り道を2時間犬が案内してくれた話。

お盆休み。
 
どこも混みますが、
久々に一泊で日光へ行こうと計画していました。

名古屋からは結構遠い事もあって、もう1泊取ろうと。
折角だから、なかなか出来ない事を計画し、
奥鬼怒の方へ行く事にしました。

この場所はアクセスが悪く、
一般車も市バスも女夫淵までしか行けません。

奥鬼怒には4つの宿があり、
そこの2つの宿は宿のバスで送迎してくれるのですが、
一番奥の手白澤温泉では送迎もなく、
徒歩で2時間半歩かなくてはいけません。

料理も温泉も良いとの事で、
今回そこに決めました。

今流行りの各部屋に露天風呂があったりとかではありませんが、
本当に食事も美味しく、お酒の種類がたくさんありました。
 

温泉も凄い湯量の温泉が常にドバドバと流れ出ていて
とても良い宿で
温泉好きの人には本当におすすめ出来る宿でした。

しかし一番印象に残った出来事は
チェックアウトしてからでした。

支払を済ませ、宿の方に挨拶をして出ようとすると、
玄関で飼われている岳くんが出て来ました。

宿の人が「もしかしてついていくかもしれないけれど、
放っておいてくれれば良いから。」
と。

見送ってくれる事もあるとは、聞いてはいましたが・・・

宿の人にお礼を言って歩き始めると、
100mぐらい先までチョコチョコと進んでいきました。

こんな経験は初めてです。
 

時々こちらを振り向きながら歩いて行く姿は
とても可愛かったです。
 

途中で分岐する所では、ずっと待っていてくれたりして
さも「遅いなぁ・・・」って言っていそうでした。
 

途中で他の宿のモコも一緒になってついてくる事に。

犬を引き連れてる感じで、なんか不思議なご一行に。
モコは途中でいなくなってしまいましたが・・・
 
奥に見えるのが加仁湯。
 

横を流れる鬼怒川の水は本当に澄んでいて、
所々で見える滝も綺麗でした。


欄干にはトンボ。


途中で岳くんの姿も見えなくなり、
どっか途中から帰って行ったのかなぁと思っていました。

すると、あともう少しで女夫淵という所で、
ちょこんと座って待っていてくれました。

急な鉄製の階段も器用に下りていき、
無事にバス停の前まで案内してくれました。

しかし、ここは秘境の地。
次のバスまで一時間以上待たなくてはなりません。

椅子に座って待っていると、
甘えてくる訳でもなく、横にちょこんと座ってくれました。

すると、急に雨が降り出して来ました。
雨に濡れる事もなく、下山出来てとてもラッキーでした。

待っている間、他のお客さんも下りてきて、
「ひょっとして岳ちゃん?」と聞いてこられたので、
「そうです。」と言うと、
わざわざ一緒の写真も撮っていただきました。

その方々は車で来ていたようで、
そのまま直ぐに帰っていかれました。

その後、バスを待っている間も岳くんは周りを徘徊したり、
宿の他のお客さんにも挨拶しに行ったりしていました。
 
岳くんがいたおかげで、
待ち時間も少しも退屈な時間になりませんでした。

やっとバスが来て、出発時間になって乗り込んでしばらく経つと
自分の任務は完了したんだと思ったのか、
宿の方へと帰って行きました。

また2時間近くかけて戻って行くんだと思うと
凄いなぁと思いました。

尻尾をフリフリまとわりつく訳でもなく、
餌をねだる訳でもなく、
つかず離れずで案内してくれて、
今まで会った事がないタイプの犬でした。

今までこんな経験した事なかったので、
驚くと共に凄く印象深い旅行になりました。

当然1組しか案内出来ないですし、
偶然だとは思いますが、とてもラッキーでした。

そんな旅ができる手白澤温泉、オススメです。